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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(35)営業改革実践シリーズ3

    2013年12月6日

     
     
     

     ?自社倉庫活用事例



     A社は、倉庫業と運送業を両立する物流企業である。3年前までA社の倉庫は、一つの荷主企業が借り切っていたが立地条件が悪く、また、この不況の煽りを受けた荷主企業の徹底したコスト改善により、A社倉庫は荷主離れされてしまう。A社は、倉庫業以外に車両30台の運送部があり、幸いにして運送部の収支が良く倒産の危機を免れたが、会社全体の売り上げに対する倉庫業での収入の比率は高く、生きるか死ぬかの瀬戸際に置かれている状況は変わらない。なぜ、こんな経営状況に陥ったのかA社の社長は原因を考える。

     《原因》
     1、 荷主の経営状況、業界状況を把握できていなかった
     2、 一つの荷主に借り切られ、リスクを感じていたが、しっかりした荷主であったためリスク管理を怠ってしまった
     3、創業以来40年の付き合いから、ぬるま湯につかっている自分に気づかなかった
     A社の社長は、どうすれば無人化した倉庫から今までのように収入が得られるか必死に考える。
     運送部における小規模製造会社を経営するB社長から移転のため賃貸料の安い倉庫を紹介してほしいと言われ、話を聞いてみる。

     ◆製造業者は、大量生産時代と比べて機械の稼働時間がフル稼働せずに余剰な設備を抱えている
     ◆売り上げ低下と余剰設備の維持費が経営を圧迫している。その中で、工場の賃貸料が大きな負担となっている

     A社の社長はひらめく。自社倉庫をうまく活用し、小規模製造業者の必要のない設備、自家用トラックを売却させてダウンサイジングし、安い賃貸料を見積もり、A社の倉庫に移転させて商品を製造させる。製造された商品を自社の物流を活用してもらい賃貸料、運賃ともに獲得する。

     A社では現在、2社の製造業者をダウンサイジングさせて、自社倉庫を活用してもらっている。A社社長は、残りのスペースを他の2社の製造会社に活用してもらおうと日々営業努力している。ピンチの中にヒントが隠されており、瀬戸際に立たされると生き抜く強い思いが出てくる。「どうするか」と、必死にもがく中で光が見える。正にピンチはチャンス。A社は倉庫の荷主がゼロで、絶体絶命で土壇場の局面。ここで火事場の馬鹿力のごとく、生き抜く閃きが生まれてくる。即実行することで活路を開く。顧客の立場になって考える。そこに必ずビジネスチャンスがある。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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