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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(42)営業改革実践シリーズ10
2014年2月6日
?人材ビジネス進出で本業(運送業)の経営活性化実践事例
人材派遣ビジネスに進出したA社(運送業)がある。営業開拓?人材採用?管理までを手探りながら進めている。人材派遣ビジネスの原価は、まさしく人材。運送業の原価が車両費であるように、人材派遣ビジネスは人材なくして100%考えられない。では、どのように人材を集めてくるか(人材確保力)が事業成功の鍵になる。民間の求人媒体・公共の求人媒体・インターネット・口コミ・紹介・街中でのスカウトなど、ありとあらゆる手段を使って人材を確保する。その活動の中で、人と人との間に生じる裏切りや衝突が存在する。その繰り返しを継続し続けることが、人材派遣ビジネス成功の条件ともいえる。人材派遣ビジネスに進出したことで、新たな発見もある。これまで広告代理店、採用媒体各社に依存していた人材採用を自社主導で行うことで、人材を見る目・採用に対する考え方が変化してきた。面接時にどんなに期待を寄せても、未来は誰の力でも予測できない。運送業のドライバー採用では、急にいなくなったり、ダメになったりすることは日常茶飯事。人材派遣ビジネスで活躍する人材は、そのほとんどがアルバイト希望、あるいは将来的な社員登用の希望を持った人材が主である。人材派遣事業で面接にきた人材についても、タイミングが合えば自社のパートドライバーとして活用する。必ずしも自社業務専用で求人する必要はない。パートドライバーであれば、必ずしも車両責任制をとる必要もない。きちんとした教育を行えば、1台のトラックを複数パートで乗車することも可能である。社員採用や嘱託雇用だけにとらわれすぎていては、採用のバリエーションがあまりにも少なすぎる。派遣採用=自社業務の採用=採用コスト削減=収益増加という図式を確立することで、採用バリエーションは一つ増える。顧客への派遣事業と並行して自社パートドライバーも採用する。必ずしも人材採用の道は一本ではない。複数の道(採用バリエーション)の中からベストの採用を実現することが重要である。
A社はパートドライバーの比率を高め、収益低下による経営危機を乗り越える試みを展開中である。併せて自社ドライバーの意識強化にもつなげていきたいと考えている。意識の強化とは、『そんなんやったらいつでも辞めたるで』『明日から急にいなくなったら困るやろ』というような言葉を発するドライバーや、そうした気持ちを持つドライバーに対して警鐘の意味もある。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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