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ブログ・小山 雅敬
第180回:経営の「見える化」で勝ち残りを
2020年4月14日
【質問】人手不足が深刻さを増す一方、働き方改革で労働時間の削減や休日・休暇の増加に取り組まなければなりません。将来を見据えて中小運送会社は今どのように対応し、勝ち残りを図ればよいのでしょうか。
中小運送会社の経営は、かつてないほど難しい局面に入ってきました。20年以上続いた過去の荷不足・人余り時代や燃料が急騰した時期など、多変苦労した歴史がありましたが、現在直面している経営課題は質が異なり、経営者の営業努力だけで解決するものではありません。大きく異なる経営課題に直面し、将来の事業戦略に悩む経営者が増えています。
弊社の関与先運送会社でも、今後の事業戦略を構築しなおす会社があります。物流業界の将来見通し(人口構成、自動化運転の進展、物流業界でのAIの進展、2020年オリンピック後の景気見通し、法改正動向など)を踏まえて、実運送部門と倉庫・物流センター部門との事業ウェイトを見直し、設備投資を従来の車両中心から物流センターの高度化にシフトしている会社もあります。長距離から地場へのシフトもよく見られる傾向です。大手と中小とのすみ分けが一層明確になると予想し、自社のポジションを再構築しています。
荷主との交渉も、運賃中心から荷役作業の見直しや時間削減など効率化交渉にシフトしつつあります。
そのような変化の中で、当面、中小運送会社は勝ち残るために何から始めればよいのか。はっきり言えることは「人が集まらない運送会社に将来はない」ということです。運送会社の財産は何よりも「人」です。その他の経営資源は資金と経営センスがあれば何とか回りますが、「人」だけはそうはいきません。つまり、当面の勝ち残り策は、良い人材を確保することです。そのためには自社の強みを求職者や社会全体に「見える化」し、特長を伸ばすことが必要です。
「荷主が自社を理解していれば、それで良い」という過去の時代は終わりです。今の取引先もこれからの時代、AIの進展により、どう変化するのか誰も予測できません。自社の「見える化」は、その方法が重要です。「見える化」は客観的な要素で納得性を担保しなければなりません。中小運送会社が今、最低限取得しておくべき認証は「Gマーク認証」「健康経営優良法人認定」さらに今年度から始まる予定の「ホワイト経営認証」の3つです。その他にグリー経営認証やISOなど、各種の認証があり、それらについても本気で取り組む必要があります。自社の付加価値を社会に示す行動が必要です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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