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ブログ・小山 雅敬
第224回:ドライバーの評価を賞与に反映する方法
2022年3月15日
【質問】人材確保対策の一環で、ドライバーの評価制度を導入して賞与に反映することを検討しています。評価結果をどのように賞与に反映すればよいか、運送会社の事例があれば教えてください。
最近、人材確保対策や同一労働同一賃金対策、または助成金申請などを目的として、「人事評価制度を新たに構築したい」あるいは「法改正等の状況をふまえて見直したい」と考える運送会社が増えてきました。
しかし、ドライバーの場合は賃金を歩合給で支給している会社が多く、評価制度を運用している会社がいまだ少ないため、評価結果をどのように賃金(例:賞与)に反映すればよいか迷っている会社が多く見られます。本来、賞与の支給基準は会社が自由に決めることができ、労使間で納得できる制度を独自に構築すればよいのですが、一般的に運送会社で導入されている支給方法を挙げると、次のような事例があります。
中小運送会社では、大手企業のように賞与支給額を「所定内賃金(または基本給)の何か月分」という決め方をしている会社は少なく、会社の収益状況に応じて、「一人平均〇△万円」と決めている会社が多く見られます。
例えば、一人当たりの賞与支給額を平均10万円とした場合、その約半額(この場合、5万円)を「基本賞与額(固定部分)」として設定し、基本賞与額については全員一律支給を行います。
次に賞与の約3割(この場合、3万円)を「無事故基準額」として設定します。無事故基準額は賞与算定期間中の事故発生状況に応じて決定する部分であり、事故を起こしていれば減額、無事故であれば満額支給となります。事故発生時の減額評価は「人身か物損か、2度目の事故か、実損額や取り引きへの影響度」など減額の基準を別途に決めておきます。
残りの2割相当額(この場合、2万円)が「評価基準額」となり、この部分に評価結果を反映します。普通評価(会社が期待したとおりの実績)であれば満額支給となり、期待以下の実績であれば減額、期待を超える実績であれば最大2倍(つまり賞与の4割相当、この場合4万円)まで増額されます。
つまり、評価結果により、0〜4万円の差が生じることになります。評価方法は評価点により評定を決める絶対評価と、上位から順位付けして決める相対評価の2通りの方法があります。モチベーションアップを目的にするのであれば、絶対評価の方が効果的です。ただし、評価表の項目ごとの評価点を甘く設定すると、人件費の持ち出しが発生しやすいので要注意です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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