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ブログ・小山 雅敬
第245回:協業化で物流を守る時代
2023年2月17日
物流分野での共同化や協業化の動きは30年以上前からあり、その都度現場で見てきました。メーカーや卸売業が主体となって進めた「共同配送」のシステムと運送業者が主体的に進めた「求貨求車」システムなどが共同化の代表的な例です。いずれもその後規模を拡大し、大きく発展しています。
また同類の業態(食品、定温輸送、等)の企業群が全国でネットワークを形成、または個別企業レベルで親密な2社が複荷交換契約を交わすケースなどが以前から見られます。今までの共同化や協業化は主に積載効率の向上やCO2排出削減等の環境対策、および実車率の向上、全国配送ネットワーク形成、等が主たる目的でした。
以前、本コラム(第32回)において「運送業の共同化に必要な視点」を執筆した際に例として挙げたある企業グルーブは、その後目覚ましい発展を遂げ、現在では全国でも有数の大規模物流企業になっています。
当時、統合以前の6社が、もし決断できずに躊躇してそれぞれに生きる道を選択していたら、現在でも厳しい経営が続いていたかもしれません。運送業の共同化や協業化が真に成功するポイントは「物流品質全体のレベルアップ」に結び付いているかどうかです。
単に自社の経営にプラスになるから同業他社と助け合おうという理由だけでは不十分です。真に社会に役立つ存在を目指すのであれば、社員教育も合同で行い、社内規定も統一し、管理システムも共有化して品質の同質化を図る必要があります。
それが発展すると資本提携や合併、統合の形態になるでしょう。「2024年問題」が契機となり、今後中小運送会社において共同化や協業化の動きが急速に進むでしょう。それは従来とは異質の理由であり、法規制を順守するために必要不可欠になるからです。まさに物流を守るための選択肢になるのです。
現在、2024年に向けて中継輸送の相手企業や長距離輸送の傭車先を探す動きが始まっていますが、委託する会社やドライバーにより品質がバラバラな状態ではいずれ限界がくるでしょう。将来に向けた事業プランや必要資金、雇用維持の方策などを考慮して、真に必要な協業化の方向性を検討することが大事だと思います。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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