-
ブログ・小山 雅敬
第258回:中長距離運行は隔日勤務制度の導入検討を
2023年9月22日
【質問】広島から関西地区(京都、滋賀方面)への往復運行を行っていますが、待機時間を縮めても一日の拘束時間限度内に収めることが難しく、現在荷主と協議中です。何か方策があれば教えてください。
東海地区のある運送会社では片道300㌔㍍超の長距離運行に隔日勤務を採り入れています。当初は他の業務と同様に通常の運行計画を検討しましたが、どうしても拘束時間が超過し、途中で休息期間を与えないと改善基準をクリアできないため、隔日勤務制度に切り替え、一日おきに交代で勤務する形態に変えました。
2024年4月からの新改善基準告示では一日の拘束時間が1時間減の最大15時間に縮まり、14時間超は週に2回までが目安となります。
一方、隔日勤務の特例は現行基準と変わらず、21時間まで拘束時間を延長することが可能です。なお、この場合、運行終了後休息期間を20時間以上与える必要があります。
さらに夜間に4時間以上仮眠時間を与えれば拘束時間を最大24時間まで延長することができます。
ただし、この場合の仮眠は車中泊ではなく、仮眠施設または類する施設において与える必要があります。一般的に長距離運行の場合は、到着地点付近で休息期間を8時間以上与えて2日運行にする計画が多いのですが、貨物の荷積み荷卸しの時刻や待機時間の都合等でうまくタイミングが合わない場合、無駄な時間が発生することがよくあります。
また、ドライバーは出先で8時間以上休息をとるよりも、多少勤務時間が長くなっても早く仕事を終えて事務所に戻り、自宅でゆっくりしたいと考える人が多くいます。その際、隔日勤務制度は運行実態がうまく適合すれば有効な選択肢になりえます。隔日勤務制度が適合しやすい形態はA地点からB地点へのシンプルな往復運行の場合です。途中の立ち寄り先が多く、日によって行先が変化する運行形態では、安定した運行計画が立てにくいため、通常の2日運行によりゆとりを持った運行計画を採用するほうが良いでしょう。
そもそも隔日勤務制度はタクシー業でよく見かける制度ですが、トラック運送業で採り入れている会社はあまり多くありません。トラック運送業において一般的ではないため、運行計画を検討する際に選択肢に入れていない会社が多いと思います。出庫して15時間では戻れないが、21時間(または24時間)以内には戻れる距離の運行では、一度、隔日勤務の導入を検討しても良いと思います。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
「ブログ・小山 雅敬」の 月別記事一覧
-
「ブログ・小山 雅敬」の新着記事
-
物流メルマガ