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ブログ・小山 雅敬
第5回:運送会社での班制度の作り方
2013年7月23日
【質問】わが社ではこのところ、不注意による事故が続いており、対策を検討しています。安全講習は実施しているのですが、あまり効果が出ていません。運送会社が班制度を導入して事故の削減に成功していると聞いたことがあります。わが社でも班制度を作りたいのですが、その注意点や運用方法について教えてください。
班制度は安全管理体制の強化に大変効果的です。ただし、作り方や運用の方法によっては効果が半減してしまいます。
まず、大事なのは一つの班の人数です。班長を含めて5人以下にすることがポイントです。私が訪問した会社の中には、8人の班や12人の班を作っている会社がありましたが、期待した効果が出ていませんでした。班長が班員一人ひとりの顔色を確認して体調を気遣うことができ、注意事項の伝達など日々のコミュニケーションがとれる人数にする必要があります。班長自身もハンドルを握りながら指導管理するので、自らを含めて5人が限度と考えるべきです。
次に、運用方法で最も重要なのは、明確な目標を設定することです。通常は(1)無事故・無違反(2)洗車を含む車両管理(3)燃費や高速代などのコスト削減目標を設定するケースが多いです。目標を設定したら「班別目標管理表」や「班別指導管理表」などを使って班長が毎日記録し、月1回報告する制度とします。この場合、班長の負担が重くなり、任命しても回避する傾向が出てきますので、班長手当は月1万円以上で設定します。なるべく現場の近くで指導管理することが無事故達成のポイントです。事故がなくなれば安いもの、と考えることをお勧めします。
また、賞与の決定においては人事考課の一次考課者が班長に意見を聞く制度とし、班長に一定の権限を与えることが必要です。そのうえで、無事故・無違反を達成した月には「班別無事故報奨金」を支払い、モチベーションを高めます。班別無事故報奨金は賃金体系の見直しの中で、現行ファンドの中から捻出することが多いです。例えば、従来の無事故手当の中から3割程度を班別無事故報奨金に振り替えるなどです。
このようにして全社で無事故推進や燃費向上などの目標を達成していく体制を作ります。
(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬) -
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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