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ブログ・小山 雅敬
第177回:ホワイト経営認証取得に向けて今から準備を
2020年3月3日
【質問】運送業のホワイト経営認証制度が本年度中に始まる予定と聞きました。人材確保のために、当社も認証取得に取り組みたいと思っています。その内容と、今から準備すべきことについて教えてください。
先般、厚生労働省から「自動車運送事業のホワイト経営の見える化検討会」のとりまとめ報告書が発表されました。制度の正式名称は「運転者職場環境良好度認証制度」。認証基準はトラック運送業の場合、83項目の認証項目に対して「一つ星」認定の基準が必須項目22項目の充足、および加点項目61項目で、基準点数が53点以上達成となっています。「一つ星」から「三つ星」まで3ランクに分かれており、初年度は「一つ星」の認定から始める予定です。
認証項目の内容は、①法令順守等②労働時間・休日③心身の健康④安心・安定⑤多様な人材の確保・育成⑥自主性・先進性等の6分類に分かれ、それぞれに達成すべき基準が設定されています。これらの基準を詳細に見ると、運送業の労務管理に必要な基準(通常出来ているはずの内容)が大半を占めており、一部の項目が法律の規定よりも前倒しで先進的に取り組む事業者を加点する仕組みになっています。
「一つ星」の認定基準のうち、必須項目(22項目)の中で、特に注意すべき項目は№11、12「月の拘束時間および休日労働の限度違反」、№61「損害賠償額を予定する契約」、№62、63「最低賃金」、№64「歩合給の6割保障」、№65「割増賃金の適正な支払い」などの項目だと思います。これらは普段、運送会社を指導している中で、不備を是正することが多い内容だからです。それ以外は、きちんと規程を整備して通常の運営をしていればクリアできる内容です。基準点数53点なので、加点項目(61項目)のうち27項目以上がOKであれば良いということです。
運送会社の実態を見ると、普通に管理されていれば、加点項目のうち33項目程度はクリアできると思われます。つまり27項目が未達成ということは、平均以下の管理レベルということになります。ちなみに次年度以降の「二つ星」は基準点数76点以上ですから、加点項目のうち38項目を達成する必要があり、これは通常の管理を超えた高レベルの労務管理が必要になるでしょう。
この認証制度は、単に求職者への訴求にとどまらず、荷主をはじめ社会的な評価の尺度になる可能性があると思います。最低でも「一つ星」は取得しておくべきでしょう。早めに国交省HPで内容を確認し、未達成の項目を改善していくことが望まれます。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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