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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第2回:下請法に基づく適正取引の重要性
2013年7月29日
規制緩和により新規参入事業者が増加したことに加え、低迷する経済情勢の影響もあって、運送業を取り巻く環境は大変厳しい状況が続いています。また、運送業においては、小規模事業者が占める割合が大きく、下請け構造の多層化が進行しており、元請け事業者から5次、6次以降の下請け事業者が実運送を行うこともあります。
このような厳しい競争環境の中にあるためか、残念ながら事業者間の不適正な下請け取引が行われることもしばしば見受けられます。特に近時、独占禁止法や下請法をはじめとする経済関連法規の規制・取り締まりが非常に厳しくなっています。
コンプライアンスが声高に叫ばれる現在では、いかに業績が堅調な企業であっても、それが下請け事業者の犠牲の上に成り立っているような場合は、企業としての存続は危ういといっても過言ではありません。
また、取引の適正化は下請け事業者の競争力を強化する結果、最終的には親事業者の発展にも寄与するものといえます。従って、経済関連法規のコンプライアンス体制の構築・強化は、下請け事業者にとってはもちろん、親事業者としても非常に重要な意味を持つのです。そこで本稿では、運送業における下請法の適用上のポイントについて取り上げたいと思います。
下請法では、取引の内容と親事業者及び下請け事業者の資本金の額によって適用対象を定めていますので、まずは自社の取引が下請法の適用対象であるかを確認することが必要です。運送取引に関しては、(1)資本金3億円超の法人が、資本金3億円以下の法人・個人事業者と取引する場合、または(2)資本金1000万円超3億円以下の法人が、資本金1000万円以下の法人・個人事業者と取引する場合に下請法の適用を受けます(下請法第2条第7項、同法施行令第1条第2項)。
自社の取引が下請法の適用対象であることがわかった場合には、親事業者の義務(書面交付義務、書類作成・保存義務など)を順守しているか、自社の取引が禁止行為(支払い遅延、代金減額、購入・利用強制、報復措置、割引困難手形の交付、不当な利益提供要請、不当な契約変更など)に該当していないか、十分注意する必要があります(下請法第3条から第5条)。
今後も本紙で運送業における具体的な下請法適用上の問題について取り上げていく予定ですので、コンプライアンス経営の参考にしていただければと思います。
(小谷祥・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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