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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第5回:正しい担保・保証の取り方
2013年9月9日
依然として、厳しい経済環境が続いています。今年3月には、いわゆる金融円滑化法の適用期限も到来し、巷間、多くの企業が、取引先の資金繰りの悪化に直面するだろうといわれています。さて今回は、債権の回収の一手段として、正しい担保や保証の取り方について解説します。
担保とは、当社(運送事業者)が相手方(荷主)の運送代金(債権)を回収する目的で荷主の財産を支配し、いざとなれば、その財産を売却するなどして、その代金などから債権を回収する制度です。
担保の対象には、メジャーなものでは不動産があります。ただ、これは銀行などが抵当権などをすでに設定していることが多く、そうなると担保としての価値がないと考えた方がいいでしょう。あとは製造設備などの動産ですが、これも大きな財産価値のあるものは、やはり銀行などが不動産と一体で押さえ、あるいはリース会社の所有するリース資産であることが多く、担保価値はないことが多いものです。
最近、メジャーになりつつある担保が、債権や商品の担保です。とりわけ売掛債権や在庫品・仕掛品などのように日々発生する財産の「集合体」を担保にすることが行われています。このような集合債権や集合物の担保は、先に登記をすることによって、他の債権者よりも優先して回収できるものとされています。
財産価値のあるものは、意外なものでも担保にすることができますので、相手方のもつ財産の情報を日ごろから収集し、危険信号を察知したら出来る限り早く担保を取得することができる体制をつくることが肝心です。たしかに運送事業者が荷主のもつ売掛債権などの財産を担保に取ることは難しいところですが、自社と相手方の関係をきちんと把握し、常に機会をうかがうことが大切といえます。
また、保証(連帯保証)については、比較的簡単に取得することができると思われがちですが、多いのは保証の意思(保証の内容、つまり範囲や保証金額)について、確実に証拠を残しておかないことによるトラブルです。これは契約書、できれば公正証書により保証内容を確実に残しておく社内ルールを整備しておきましょう。
(荻野恭宏・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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