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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第6回:就業規則がトラブルから会社を守る
2013年9月23日
労働基準法では、第89条において常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出ることが義務付けられています。そして、同法第106条1項では就業規則を常時、作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けるなどの方法により労働者に周知させなければならないことを求めており、周知義務違反は、罰則(30万円以下の罰金)が適用されることがあります。
ところが現実的には、特に中小・零細規模の事業所において、就業規則の作成はおろか、作成をしても労働基準監督署に届け出をしていなかったり、経営者の机の引き出しの中に隠すなどして周知をしていない運送業者が多く存在します。
確かに、年次有給休暇の日数などの記載が労働者の権利意識を高めてしまい、職場の混乱を招いてしまうであろうという経営者の考えはわからないでもありません。
しかし、インターネットの普及によって多くの労働者が携帯電話やパソコンなどを使用して様々な正しい情報を瞬時に得ることができるようになっている環境は、今後も更に加速することは間違いなく、情報を隠せばかえって会社に不信感を募らせてしまうことは間違いないと言っても過言ではありません。
そもそも、就業規則というものは、労働時間といった基礎的な労働条件を画一的に定めるのみならず、労働者に守ってもらいたいことを定め、組織の規律を維持するという機能もありますから、労働者からの権利の主張におびえるよりも、徹底したトラブル対策やリスク対応の内容で就業規則をまとめ、今後の指導根拠に活用していくことに注力した方が得策ではないでしょうか。
もちろん、多くの労働者はまじめに必要以上に権利を主張することなく働くでしょうが、一部の問題社員から会社を守るには、厳しいルールを周知させることで問題行動をけん制し、トラブルが現実的に生じたら、その都度、指導を重ねた方が労使のパワーバランスを保つことにもつながるのではないかと思います。
(服部英治・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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