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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第10回:「時間軸を採り入れる」契約のチェックポイント
2013年11月18日
契約書は、自分に有利に作成することが重要です。そして、有利かどうかは、時間の経過すなわち「時間軸」を採り入れて正確に判断していきたいところです。約束というものは人が行うものであり、人は変わるものです。今は良くても将来の状況変化に応じて不利になることが見られます。
とりわけ、継続的な商取引基本契約を締結する場合、その取引関係を契約期間途中で終了させたいと思うことがあるものです。その場合、「中途解約」ができるような契約になっていないとトラブルになります。相手方に明白な契約違反があればともかく、そういう状況ではない場合に問題となります。
どういう事情で中途解約をする必要が生じるか、時間軸を採り入れて考えてみましょう。
(ア)まず、相手方に良くない評判が立ち始めた時などがあります。相手方が第三者への債務の支払いを停止した場合などで、信用(支払い能力)に問題が認められるときには、商品やサービスの提供を見合わせることが正当化される「不安の抗弁権」(判例)が認められることはあります。しかし、もっと漠然とした取引上の不安というものもあるでしょう。その場合、いっそのこと取引関係を解消したいでしょうが、中途解約権がないとうまくいきません。
(イ)また、完全な自己都合で相手方との取引関係を解消したいという場合もありえます。たとえば、自社がA社と付き合っていることが、より取引条件のよい新規のB社との取引開始の障害になることもあるでしょう。そのような場合もイニシアチブをとって事業を展開できなくなります。
無論、通常、中途解約の規定を契約条項に入れる場合、自社だけが持つものではなく、相手方も同じく手にすることになりますので、両刃の剣ではあります。まずは時間軸を持って、どのようなリターンとリスクがあるのか、法律家に相談してみることをお勧めします。
(荻野恭宏・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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