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ブログ・野口 誠一
第11回:倒産の前触れ第6条/経営者が派手に遊び始めたとき
2004年2月4日
倒産の前ぶれ15カ条の第6条は、『経営者が派手に遊びはじめたとき』である。
以前、八起会会員に「あなたの会社は創業して何年後に倒産したか」というアンケート調査(回答300名)を行ったことがある。その結果は「5~10年後」がトップで、「10~15年後」「15~20年後」と続き、「5年後未満」は最下位だった。これはいったい何を意味しているのだろうか。思うに、創業して5年くらいは誰しも経営に心血を注ぐ。努力に努力を重ねる。その必死には倒産も追いつけない。そうした努力を5年も続ければ、いいかげんな会社でない限り大抵は軌道に乗る。が、躓きの石は常に足許にある。
「軌道に乗ったからひとまず安心」と気を抜けば、心に油断が生じる。その油断につけこむのが「遊び」である。遊びの怖いところは、「ほどほどに」というブレーキが利かなくなることと、いったんハマッたが最後、容易に足を抜けなくなることである。経営者にとって遊びの環境は最悪と言っていい。 取り巻き連にヨイショされ、阿諛追従を浴びている間に、経営手段は確実に錆びついていく。創業5~10年後の倒産が圧倒的に多いのも、その間の事情を語って余りあろう。
建設現場の事故はほとんど、高所よりも地上2、3メートルの低所で起きる。高い所では用心もするし警戒心も働くが、低い所では油断が生じるからである。油断大敵とはそのことをいう。
経営者にとって最大の危機は、経営が軌道に乗ったあたりであろう。そこで小さな達成感に満足しているようでは危ない。自己満足は成長をストップさせ、油断を生む土壌なのだから。その度合を測るバロメーターが「遊び」である。
現状がどんなに順調でも、経営者が派手に遊びはじめたら、倒産に一歩近づいたと思ったほうがいい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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