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ブログ・野口 誠一
第7回:倒産の前触れ第2条/有能な社員が辞めていったとき
2004年1月23日
倒産の前ぶれ15ケ条の二番目は、「有能な社員が確たる理由もなく会社を辞めていったとき」である。これは大企業、中小企業を問わず、ひとつの目安となろう。昔から、ネズミは沈む船、火事になる家から事前に逃げ出す、と言われているが、企業にも同じことが言えよう。有能、有力な社員の流出は、倒産の前ぶれと言っていい。
ここ数年、日本中にリストラ旋風が吹き荒れている。IT不況のあおりから、日立、東芝、富士通、NEC、松下といった日本を代表する電気機器メーカーですら、千単位、万単位のリストラを断行した。その過程で驚くべき現象が起きた。一つは、会社側の予想を超えて早期退職希望者が殺到したことであり、もう一つは、有能な社員から真っ先に辞めていったことである。これはいったい何を意味しているのだろうか。
思うに、社員は給与や生活のためだけに働いているわけではあるまい。大企業、中小企業にかかわらず、その会社に将来を託したり、経営理念に共感したり、あるいはその企業文化の中で成長していきたい、と考えているに違いない。そうした希望や欲求に応えてくれない会社に、有能な社員が長くとどまるはずもない。
中小企業の場合、経営理念といい方針といい、会社の風土といい文化といい、そこには経営者の資質と能力が如実に反映されざるを得ない。それだけに、有能な社員が去るか否かは、経営者の器を測るバロメーターでもある。今後、労働市場は本格的に流動化していく。ひらたく言えば、有能な人材が会社を選別する時代に入っていく。そうしたなかで、有能な社員を引き止めるか否かは、中小企業にとって死活問題と言っていい。失敗すれば、その先に待っているのはおそらく倒産であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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