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ブログ・野口 誠一
第102回:失敗しないための戒め15か条 困ったときでも安易に他人を頼るな
2004年11月7日
「失敗しないための戒め15か条」の第8条は、「困ったときでも安易に他人を頼るな」である。
私は常々、経営者に「どんなに信用できる社員でも仕事を任せっきりにしてはいけない」と説いている。詐欺や横領が発覚してから「裏切られた」と叫んでも遅いからである。カネに困れば魔が差すのは人間の常であり、それは日々の三面記事が証明して余りある。大方の横領事件は長い間同一のポストにあり、ベテランとして信用されていた社員・職員によって引きおこされている。
中小企業のなかにはよく「任せたぞ」と、社員に責任を持たせたがる社長も少なくないが、これはリスクが大きい。任されたのをいいことに、不正を働かないという保証はどこにもないからである。なかには帳簿や実印の管理まで経理マンに任せっぱなしの社長もいるが、危なっかしくて見ていられない。そういう社長に限って、いったん穴をあけられると「裏切られた」「信用していたのに」とわめく。が、すべては後のまつり、穴が大きければ倒産とて免れない。
経営者の仕事は何をおいても帳簿や業務のチェックである。細部まで眼が届きかねるというなら、なんらかの形でチェック機能が働くシステムを構築すべきである。そこを怠って「裏切られた」では、無責任のそしりを免れまい。大企業とて同様である。相変わらず大手企業の不祥事は絶えないが、三井物産の排ガス浄化装置をめぐるデータ捏造事件にしても、JFEが環境基準を上回る有害物質を海にたれ流したうえ、そのデータを十年以上も改竄(ざん)していた事件にしても、明治安田生命が告知義務に関する保険業法に違反して契約募集していた事件にしても、すべては経営者(陣)がチェックを怠ったからにほかなるまい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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