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ブログ・野口 誠一
第106回:失敗しないための戒め15か条 勝手に会社のカネを持ち出すな
2004年11月17日
「失敗しないための戒め15か条」の第12条は、「勝手に会社のカネを持ち出すな」である。
まさかと思われるかもしれないが、この手の経営者は決して珍しくない。公私混同どころか、明らかに会社の私物化である。本人は「オレの看板と信用で稼いだカネだ」と思っているかもしれないが、どっこい、そうは問屋が卸さない。株式会社なら、その所有は株主に属する。また、「法人」として人格を認められている以上、会社といえども「人」であり、それを私物化することは奴隷化にほかならず、明らかに違法行為である。
それほど厳格にとらえなくても、経営者が会社を私物化する根拠はまったくない。いかに経営者の看板と信用で稼いでいるにしろ、手と足と汗で稼いでいるのは社員・従業員である。また、取引先や金融機関の協力も無視できないし、何よりも、消費者の支持があってこその会社であり、経営である。会社はこうした利害関係者(ステークホールダー)によって成り立っており、経営者の「私物化」など、まったく入り込む余地がない。
にもかかわらず、ゴリ押しすればどうなるか、その手本を示してくれたのが西武グループであろう。コクドは堤家の家業かもしれないが、西武鉄道はれっきとした上場企業である。上場企業は株主のものであり、当然ながらコンプライアンス(法令順守)、情報開示が求められる。そこへ家業(私物化)の論理を持ち込めば、軋轢や混乱は避けられない。結局、西武鉄道は上場廃止となり、次なる焦点は新生西武グループが成るかどうかに移っているが、たとえ成ったとしても、そのときは私物化の論理も死滅しているに違いない。堤家にとっては、倒産したのも同然であろう。会社がステークホールダーの集合体である限り、私物化の論理は通らない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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