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ブログ・野口 誠一
第108回:失敗しないための戒め15か条 遊びはほどほどにせよ
2004年11月23日
「失敗しないための戒め15か条」の第14条は、「遊びはほどほどにせよ」である。
経営者に限らず、誰にとっても「ほどほどに」ほど、難しいものはない。それは「ほどほど」の客観的基準がどこにもなく、すべて主観的・恣意的判断に頼らざるを得ないからである。月に何回までが「ほどほどのゴルフだ」などということは誰にも言えない。本人の自覚と判断次第である。
さらに厄介なのは、言いわけと膏薬(こうやく)は、どこにでもくっつくことである。誰の目にも遊びとしか映らないのに、本人だけは「付き合いだ」「接待だ」「トップセールスだ」と、他人はおろか自分の心にも言いわけできる。が、そこまでくると、そろそろ倒産も近い。日中は社長室で、明日のゴルフに備えてパターの練習。灯ともし頃になるとネオン街が恋しくなる。どこからか接待の電話が入らないかと、自分から取引先や同業仲間を誘う。こうなると明らかに遊びにすぎないのだが、本人にその自覚がない限り、「遊びも仕事のうち」となってしまう。
会社倒産は、必ずしも経営の行き詰まりだけが原因ではない。経営者が遊び過ぎて「体の倒産」を招けば、大企業の場合はいくらでもピンチ・ヒッターはいるが、社長が一枚看板の中小企業の場合、それがそのまま倒産に直結していく。泣きをみるのは家族、社員、取引先などである。健康管理も「公人」たる経営者の務めと言っていい。
もう1つ。遊びは信用を損なうことも忘れてはならない。遊び過ぎから家をとび出し、他の女性と暮らしはじめた経営者が、突然、銀行から融資を打ち切られ、倒産したケースがある。「最も身近な家族さえ幸せにできない経営者は信用できない」というのが、銀行側の言い分である。遊びはほどほどに、と言いたいゆえんである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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