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ブログ・野口 誠一
第114回:夫の心得10か条 過去の成功と栄光の記憶を捨てよ
2004年12月11日
「逆境を乗り切る夫婦の心得20か条」のうち、「夫の心得10か条」の第3条は、「過去の成功と栄光の記憶を捨てよ」である。
経営にとって過去の成功体験や栄光の歴史は何の役にも立たない。むしろその記憶が邪魔をして、経営改革を阻むケースすら目立つ。失われた10年の間に経営パラダイム(規範)はすっかり変わった。もはや不祥事を起こしたり、コンプライアンス(法令順守)を無視する企業は消費者に見放され、いかなる大企業であろうと名門企業であろうと、経営危機、破綻を免れない。
その好例は三菱自動車であろう。同社の前3月期連結決算の最終損益は、4747億円の赤字という。販売の低迷から国内の売上高が34%減、北米が27%減というから無理もない。消費者にそっぽを向かれた結果であろう。死亡事故につながった「設計上の欠陥」を、ユーザーの「整備不良」に責任転嫁したり、リコール隠しにヤミ修理と相次いでは、消費者に見放されても仕方あるまい。
このところ三菱グループは御難続きである。土壌汚染を知りながら告知せず、マンションを販売し続けたとして書類送検された三菱地所、三菱マテリアル。橋梁談合の「陰の主役」として逮捕者を出した三菱重工業。かつては「世界の三菱」とまで豪語した名門グループに、いま何が起きているのだろうか。栄光の歴史と名門意識ゆえに、古い経営手法とビジネスモデルを捨てきれずにいるのだろうか。だとしたら、環境の変化に対応しきれず滅んだ恐竜の運命をたどるしかあるまい。
中小企業にとって、三菱の事例は他山の石である。過去の成功体験に固執したり、経営パラダイムの変化を見誤る限り、明日はない。企業の生き死にを決めるのも、勝ち組と負け組を決めるのも、消費者である。会社の規模や歴史ではない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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