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ブログ・野口 誠一
第119回:夫の心得10か条 常に感謝と奉仕の心を忘れずに
2004年12月26日
「逆境を乗り切る夫婦の心得20か条」のうち、「夫の心得10か条」の第8条は、「常に感謝と奉仕の心を忘れずに」である。
私は講演などでよく「感謝と奉仕の心を忘れない経営者に倒産はない」と言っている。すると、必ず返ってくる反論がある。利益が上がっている限り倒産はない、利益あってこその感謝、奉仕ではないのか、というものである。
一応もっともな反論だが、私は感謝と奉仕の心が利益を呼ぶ、と思っている。たとえば、三菱自動車はどうか。人命にかかわる欠陥車を製造しておきながら、その事故をユーザーの整備不良に転嫁し、ブランドイメージと利益を守ったつもりだろうが、悪事は必ず露顕する。その結果はどうなったか。ユーザーにそっぽを向かれて大赤字、新本社ビルを売り渡して旧本社ビルへ逆戻りという。三菱グループの支援がなければ、とっくに倒産していたはずである。利益を優先しすぎた結果と言っていい。
三菱自動車の企業文化のなかに、多少なりともユーザーの利便に奉仕できる喜び、感謝の心が根付いていれば、このような事態は避けられたはずである。利益が先か、感謝と奉仕が先か、そこを取り違えると、このような危機を招くという典型例であろう。
だいぶ以前のことだが、アメリカのある地方百貨店が買収の危機にさらされたことがある。その百貨店は利益の3%だったか5%だったかは忘れたが、それを地元に還元することを宣言し、長年にわたってその約束を実行してきた。その奉仕の心に地元住民が応え、がぜん買収反対運動が盛り上がり、ついにその百貨店は買収を免れた、という例がある。
もはや利益が先か、感謝と奉仕が先かは問うまでもあるまい。利益に走れば危機を招く。一方、感謝と奉仕は漢方薬のようにあとで効いてくる。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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