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ブログ・野口 誠一
第121回:夫の心得10か条 人生の最終目標は「幸福」と心得よ
2004年12月31日
「逆境を乗り切る夫婦の心得20か条」のうち、「夫の心得10か条」の第10条は、「人生の最終目標は『幸福』と心得よ」である。
かれこれ10年ばかり前のことである。その日、なにげなく3階の事務所から下を見ると、入り口のあたりを行ったり来たりしている夫婦がいる。私はすぐにピンときた。「お入りなさいよ」と声をかけたら、恐るおそる事務所へ入ってきた。
聞くと、3日前に九州から夜逃げしてきて、昨日もその前日も入り口まではきたが、怖くて恥ずかしくて入れなかったという。その間、口にしたのは水だけ。昼は上野公園のベンチで、夜は公衆トイレの中で過ごしたという。昼近くだったので、私はさっそく出前を3つ頼んだ。夫婦は泣きながらカレーを食べていた。
ご主人はスーパーを経営していたが、大手の進出と価格競争に敗れ、多額の借金を背負って自殺を決意。それを奥さんが止め、2人の子どもを親戚に預けて東京へ夜逃げ。そういう経緯だった。
「倒産ぐらいで自殺なんか考えちゃいけませんよ。倒産は経営上の失敗であって、人生そのものの失敗じゃないでしょう。人生の目的は社長になることだけじゃありません。最終的に幸せになればいいんです。社長でなくたって幸せになる道はいくらでもあります。それをいまから話し合いましょう」
私がそう言うと、夫婦からつきものでも落ちたか、それまで硬かった表情がいくぶんやわらいだ。
私は2人を慰めるためにそう言ったのではない。この考え方こそ、私たち八起会の金科玉条だからである。倒産は経営者失格かもしれないが、人間失格ではない。幸福は多様である。そこへ向かって精進することが、八起会の標榜する「心の再起」である。ちなみに、八起会の会歌はズバリ「幸せさがし」である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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