-
ブログ・野口 誠一
第122回:再起率3割の奇跡「倒産を恐れよ」
2005年1月2日
八起会は倒産者の会であると同時に、共に研鑽を重ねて経営者を目指す再起の会でもある。私たちの活動は28年に及ぶが、その間に多くの会員が再起を果たし、経営の第1線に復帰した。しかし、その比率はわずか3割。この3割が高いか低いかは意見の分かれるところかもしれないが、私は「奇跡に近い数値」と自負している。一般には1割そこそこが実情であろう。
この数値の低さは、日本の中小企業がおかれた過酷な現実を語って余りある。どの金融機関も、融資に当たっては経営者の個人保証を求める。したがって、倒産ともなればすべての財産を失い、丸裸、一文なしで巷に放り出される。そのうえ、法的には責任を免除されても、債権者の白眼視やいやがらせまでは避け得ない。実際、子供の学校や職場にまで押しかけられた例もある。
となれば、倒産者はもはやその地にとどまれない。といって新天地を目指しても、嘘でも書かない限り、履歴書から「倒産」の文字が消えることはない。日本の社会はまだまだ失敗者に寛容とは言えない。まして倒産ともなれば無能者、落伍者のレッテルを張られかねない。島帰りはいつまでも島帰りというのがわが国の伝統であり、アメリカのように敗者復活が容易な社会ではないのである。
そうした現実を踏まえたうえで、私は講演などでもよく「再起は並大抵ではありません。よほどの強運か奇跡を要します。倒産を恐れてください。いくら恐れても恐れすぎることはありません」と訴えている。
次回から「再起の群像」と題して、見事に再起を果たしたわが会員の実例を紹介する。そこにはなぜ倒産に追い込まれたか、倒産の過酷な現実とその苦しみ、いかにして再起を可能にしたかなど、多くの教訓が含まれているはずである。この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
「ブログ・野口 誠一」の 月別記事一覧
-
「ブログ・野口 誠一」の新着記事
-
物流メルマガ