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ブログ・野口 誠一
第133回:再起の群像 金型生産で年商15億円
2007年6月8日
Kさんは昭和38年、義兄の経営するアクセサリー問屋で10年間の修業を終え、30歳で独立。地の利を考えて町工場の多い東京・日暮里に貴金属の金具(空枠)を製造する会社を設立した。それまで空枠といえばほとんど手づくりだったが、Kさんはそれを金型をつかって大量生産・大量販売することを思いついたのである。
これが見事に図に当たった。東京オリンピックを境に貴金属ブームが到来、空枠はとぶように売れ、彼の創業は順風満帆のスタートを切った。
昭和40年代は、Kさんにとって「黄金の10年」で、業績は年々倍々で伸張していった。ちなみに創業時の38年の年商は4800万円にすぎなかったが、54年にはそれが15憶円にまで拡大、すさまじい成長ぶりを示した。
それに伴い、社員数も当初の5人から70人にまで増加、営業所も甲府、伊勢、神戸、大阪と次々に開設し、営業畑一筋の彼は、それらの営業所を飛びまわっては顧客と売り上げの拡大に全力を傾注した。
その一方で、設備投資も怠らなかった。土地・不動産を手当てし、社員寮も建設、48年には電電公社(現NTT)が始めた在庫管理サービス(電話回線をつかった在庫の一括管理システム)を導入、各営業所に端末機を設置してOA化にも取り組んだ。
こうしてKさんは創業以来10年というもの、ひたすら業容の拡大に向かって走りつづけた。その手法は営業中心、売り上げ重視、設備拡充の3点セット、いわば「攻め」の経営であった。その結果、またたく間に「貴金属業界の風雲児」といわれるまでになったが、しかし永遠に攻めつづけることなど誰にもできはしない。このときすでに、前途に暗雲が立ちこめつつあった。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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