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ブログ・野口 誠一
第136回:再起の群像 果たされた再起
2007年7月5日
倒産後のKさんの反省と行動は「本物」と言っていい。どんなに深く反省しようと、それが「自分を変える」べく次なる行動に結びつかなければ、しょせん、それは反省のための反省にすぎない。自分を変えずに状況を変えようというのは、どだい虫のいい話。まずは自分を変えること、それが真の反省というものであろう。
その後、Kさんが見事に再起を果たしたことはいうまでもない。それも以前と同じ業種(宝石業)、同じ場所(日暮里)、同じ社名で、である。それもこれも、彼が「逃げなかった」からにほかならない。
Kさんの会社はいま、かつての拡大主義とは打って変わり、「スモール・イズ・ビューティフル」のスローガンのもと、見事なほど効率経営に徹している。そして、この長引いた平成不況も乗り切り、かつてない高収益体質を維持している。
最後にKさんが八起会で体験発表したコメントを紹介しておこう。
「倒産が目の前にチラつき出してからというもの、それはそれは筆舌に尽くしがたい苦しみの日々でした。おそらくあの苦しみは倒産した者でなければわからないと思います。それでも毎朝、力強く昇ってくる太陽を目にすると、どこからともなく自然に勇気が湧いてくるのです」
「そんなときは、『勇気ある撤退も経営者の決断の一つだ。人間はもともと裸一貫で、この世に生まれてきたのではなかったか。元の裸に戻ることを恐れてはならぬ。失敗は恥ずかしいことではない。本当に恥ずかしいことは、その失敗を克服できないことだ』という内なる声が聞こえてくるのです。私は絶対逃げないぞ、誠意をもって債権者にぶつかるぞ、そして必ず再起してみせるぞ、と心に誓いました」 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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