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ブログ・野口 誠一
第177回:倒産を恥とせず
2008年7月11日
この数年、八起会は1つのテーマを1年間、シリーズで追いかける勉強会を開いている。3年前のそれは、「再起はいかにして可能か」だった。
八起会には倒産を余儀なくされながらも見事に再起を果たし、立派に元の経営者に返り咲いている会員も少なくない。
その中から10人ばかりに登場していただき、倒産から再起にいたった過程をつぶさに体験発表してもらった。Kさんもその1人である。
Kさんは「自分の経験が役に立つならば」と快く引き受けてくれ、なぜ倒産にいたったか、倒産渦中の苦しみ、そこからどのようにしてはい上がったか、などを赤裸々に語ってくれた。そこには印象深いメッセージがいくつもあった。その2、3を紹介しよう。
「経営者にとって倒産ほど辛いことはありません。私も会社を潰してなるものかともがきました。融通手形、ノンバンク、街金と駆けずりまわりましたが、それはしょせん、悪あがきにすぎませんでした。経営者はときに縮小、撤退、場合によっては廃業する勇気ももたなければならないと思います」
「やはり倒産前は欲心、虚栄心、名誉欲の塊りだったような気がします。それを教えてくれたのが倒産です。倒産が私の高慢を払ってくれました。これからは低い心で、迫力ある人生の秋をまっとうしたいと思います」
「いまは設備も人員も得意先も、最小限にとどめています。頼まれた仕事、与えられた仕事を丁寧に、自分なりに納得いく形で届けていきたいからです。もう利益の拡大も業容の拡大も眼中にありません。下請けの仕事はしない、紹介者のない仕事は受けない、と決めています。これからも人間的に尊敬できる人の仕事だけを、丁寧に、楽しみながら続けていきます」
そして最後に「われ、倒産を恥とせず」と高らかに結んだ。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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