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ブログ・野口 誠一
第209回:Dブランドの成功
2009年2月27日
アイデアとセールスに絶対の自信を持ってスタートしたDさんは、最初からメーカーを目指した。
文具・事務用品に関する限り、メーカーでないと妙味がないからである。メーカーは自由にプライス設定ができるし、それがオリジナルであればあるほど、その自由度は広がる。そこが魅力と言っていい。
モノによって多少の差はあるが、ポリプロピレン樹脂を使った文具・事務用品は、原価が1〜2割程度である。たとえば、100円のホルダーなら原価はマックス20円である。それを60円で卸せば3倍、100円で小売りすれば5倍、ほかに類似品や競合品がなかったり、アイデア性やファッション性に優れている場合は、150円にも200円にもプライスを設定できる。
これはかなり利益率の高いビジネスと言っていい。ただ、それもメーカーであること、企画開発力があることが条件になる。買って売る、卸してもらって売るの取次ではそうはいかない。Dさんがメーカーにこだわったのもそのためである。
Dさんの立ち上げは実に身軽なものだった。娘婿が紙の加工工場を経営していたところから、そこに設備をととのえさせて製造させ、販売は東京都中央区内にワンルーム・マンションを買い、電話を1本引いただけのスタートだった。が、Dさんはそれで十分だった。
企画開発のアイデアは山ほどあるし、セールスも好きで好きでたまらない。あとは自分が営業に回って売りまくり、自社ブランドを高めればいい。それがDさんの戦略だった。
この戦略は図に当たった。Dさんのアイデア商品は折からのOA化、ファッション化の波に乗り、飛ぶように売れていく。その種類百、その色彩三十とバラエティに富み、マスコミにも取り上げられ、Dブランドは全国区となった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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