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ブログ・野口 誠一
第237回:本物の経営者になりたい
2009年9月18日
倒産騒動のとき、Nさんは親類や知人・友人に多大な迷惑をかけた。そのあげくが夜逃げとあっては、いまさら誰にも会わせる顔がない。そしていま、奥さんにも見放された。Nさんを猛烈な孤独が襲う。何度も自殺を考えた。薬も買った。ロープも買った。しかし死にきれなかった。
Nさんが八起会に入会したのはそんなときである。八起会には同じような悲惨を体験した仲間が大勢いる。それにもめげず再起を目指して頑張る仲間も大勢いる。人は一人で生きていけるほど強くはない。Nさんも会員となり、仲間とともに励まし合い、情報を交換し合い、徐々に心の傷を癒していく。
やがてNさんに生きる意志と、このままでは終われない、本物の経営者になりたいという意欲が生まれた。幸い彼には、小さいながらも食べもの屋という基盤がある。そこをベースに発展していけばいい。
さらに幸いなことに、倒産以来、彼が就いた仕事はすべて食べもの屋関係である。好んでそうしたわけではない。住み込みや寮、それに食事に事欠かなかったからであるが、そのおかげで、ノウハウはすべて頭に入っている。
食べもの屋はサラリーマンと女性の支持がないと成功しない。それも中小企業が多く集まる地区が最適である。大企業は社員食堂を持っているから商売にならない。夜も、サラリーマンは自宅の地元よりも、会社の地元で飲食する習性がある。女性客を呼ぶには、多少投資コストがかかっても、店の内外装を小ぎれいにするしかない。
懸命に努力すること5年、ついにNさんは東京・中央区に、自らのノウハウを実現する店舗を構えた。これが予想をはるかに超えて大当たり。それでも消化しきれず弁当部をつくったが、それも大当たり。Nさんは目下、2号店を考えている。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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