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  • ブログ・野口 誠一

    第246回:悪い誘惑にはまる

    2009年11月27日

     
     
     

     仕事をすればするほど赤字がかさんでいく。そして借金だけがふえていく。この悪循環にDさんもさすがに「もはやこれまで」と腹をくくった。が、そういうときに限ってワルが近づいてくる。
     同業仲間がやってきて、「そんなに困っているなら、ちょいと手形を切りなよ。500万ぐらいなら、すぐにつくってきてやるから」と言う。悪いときには悪い誘惑に勝てない。
     Dさんは半信半疑ながらも手形を切った。と、それがカネに化けて手元へ戻ってくる。しかし、それも借金にほかならない。そういう手形はいったん切ったが最後、あとはズルズルと深みにはまっていく。そして案の定、何度かまわしているうちにパクられてしまった。万事休す。
     平成9年、Dさんは500万円の手形決済を明日に控えたその夜、奥さんと2人の娘を奥さんの実家・盛岡へ向かわせ、自分は東京へ向かった。夜逃げである。
     その翌日、Dさんが八起会を訪ねてきた。ひと通りいきさつを聞いたところで、私はDさんに所持金の有無と額を問うた。破産するにもカネがかかるからである。と、Dさんは奥さんに100万円、自分が100万円を持って逃げてきたという。
     それだけあれば法的整理が可能と判断した私は、Dさんに戻ることをすすめた。が、彼は債権者が怖くて帰れないという。以下は私の説得である。
     「それはわかりますが、このままでは一生逃げ続けることになりますよ。いくら逃げても債権者は夢の中まで追ってきます。あなたはともかく、奥さんやお子さんはどうなるのですか。いまならまだ間に合います。その100万と奥さんの100万を持って弁護士のところへ行きなさい。倒産は犯罪でもなんでもありません。法律にのっとってきちんと解決できます。そのけじめが、あなたのこれからを決定するのですよ」 

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    野口 誠一

    八起会 会長
    株式会社ノグチプランニング 代表取締役

    昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
    昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
    しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
    翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
    弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
    再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
    昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
    平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。

    電話番号:03-3835-9510(倒産110番)
    HP:http://yaoki.html.xdomain.jp/

     
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