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ブログ・野口 誠一
第334回:倒産防止活動使命に
2012年1月2日
八起会の活動が広がるにつれ、それをマスコミが取材・報道してくれるにつれ、私の講演という名の辻説法も増えていった。かなりハードなときもあったものの、倒産駆け込み寺の住職である以上、倒産防止という使命がある以上、辻説法を怠るわけにはいかない。倒産で苦しむのは経営者だけではない。社員とその家族、債権者も同様に苦しむのである。倒産はそれだけの裾野の広い悲劇であるだけに、1件でも2件でも食い止めなければならないのである。
そして、講演料は涙が出るほどありがたい托鉢だった。この托鉢がなかったら、八起会の活動は1日も維持できなかったに違いない。八起会はボランティア組織である。その運営を賄っているのが、この托鉢と会員が毎月納めてくれる浄財(会費500円。のち1000円となって今日に至る)である。
会員といっても、その大部分は倒産者である。お世辞にもリッチとは言えない。その苦しい中から倒産防止活動のために、あるいは自分たちと同じ境遇に喘ぐ人々を救うために、貧者の一灯を惜しまない。これもまた涙が出るほどうれしい。
いくら八起会がボランティアといっても、事務所が使用する電気、ガス、電話が「タダ」というわけにはいかない。東京電力も東京ガスもNTTも、きっちりと正規の料金を取っていく。托鉢と貧者の一灯がなければ、八起会の活動はたちまちストップを余儀なくされてしまうのである。
それゆえ、私のような者にでも辻説法の依頼があり、托鉢と貧者の一灯が寄せられる限り、それは「倒産駆け込み寺をつづけなさい」という天の命令であろうと自分勝手に解釈して、八起会はこの30年余り、倒産防止活動を続けてきたのである。その使命がいつ終わるのか、天しか知らない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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