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ブログ・野口 誠一
第337回:盡くして盡くして忘れる
2012年1月23日
八起会には看板が2枚ある。1枚は「盡(つ)くして盡くして忘れる」で、もう1枚は「励んで努めて心の再起」である。前者は「倒産防止の会」用で、倒産とそれに伴う悲惨を救済する際の心構えである。
ある日、中国古典の言葉を集めた本に目を通していたら、「文選」(もんぜん)のなかに「人に施しては慎んで念(おも)うなかれ、施しを受けては慎んで忘るるなかれ」(人に施した恩は忘れろ、人から受けた恩は忘れるな)とあった。その前半の部分を拝借して、私なりのモットーとしたのである。
私たちは「倒産110番」による電話相談はもとより、来訪による相談、ケースによっては出張相談にも応じている。八起会には税理士、公認会計士、弁護士などの顧問スタッフが揃っており、再建か整理かを的確に判断し、アドバイスできる。その際のモットーが「盡くして盡くして忘れる」である。
ある日、こうした私たちの姿勢と活動に、以前から注目していたという、さる高名な宗教家から次のような手紙をいただいた。
「他の国土からこの娑婆へ来られたもろもろの菩薩が、お釈迦さまに向かって、私どもも娑婆の衆生の教化に協力致しましょう、と申し出たところ、お釈迦さまはきっぱりとお断りになり、そして地べたから湧き出してきた地涌の菩薩たちにその任務を与えられました。人を救うには、苦しみや悩みの多い現実の生活を経験し、汚れと濁りのなかで喘いでいる大衆のなかに飛び込み、その苦しみ、悩みにじかに触れる必要があるからです。そうしてこそ、本当に人間を指導し、救済できるわけです。つまり、観念論だけではダメで、現実に即さなければ人間は救えないということです」
いささか褒められすぎだが、うれしい手紙だった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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