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ブログ・野口 誠一
第338回:励んで努めて心の再起
2012年1月30日
もう一つの看板「励んで努めて心の再起」は、八起会の再起道場のスローガンである。再起道場は八起会会員が倒産の原因を分析追究し、再起したら二度と倒産しない経営者を目指す修行の場である。私たちはこの三十余年間毎月、この道場で「失敗学」を学び、「心の再起」に努めてきた。
「心の再起」は「形の再起」に先んじなければならない。運よく経営者に返り咲いたとしても、そこに「心の再起」が伴っていなければ元の木阿弥、また倒産を余儀なくされてしまうからである。
私は常々、倒産は一つの失敗に過ぎない、人生すべての失敗ではない、その失敗を反省し、改め、自分自身を変えることによって再起は可能である、と説いている。この反省という道を通り、自己改革に至る過程が心の修行であり、心の再起である。あるとき、そのことの正否を前回紹介した高名な宗教家に問うたことがある。以下はその返事である。
──私たちは日常生活のなかで、さまざまな煩悩に振り回され、過ちを繰り返しています。しかし、煩悩のない人はこの世に一人もいません。私たちは煩悩を悪と考えがちですが、仏教では悪いもの、否定すべきものとは説いていません。煩悩があるから、煩悩に苦しんでいる人の気持ちがわかり、その人のことを思いやることができ、お互いの心も通じ合うのです。それが自他一体、すなわち真の人間の結びつきです。
お経のなかに「懺悔して自己のありのままの姿を見つめれば、いっさいの罪は消える」というくだりがあります。悔い改めることによって罪は消え、新たな展開が可能になります。ただし、懺悔したことを実行に移さなければ完全とは言えません──。
八起会の「心の再起」も、このことにほかならない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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