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ブログ・野口 誠一
第360回:社員の声でやる気に
2012年5月14日
Mさんの報告はまだつづく。
──このたびの給与カットでは、経営者と従業員の意識のズレ、落差というものをつくづく思い知らされました。従業員にとって、会社は単なる「カネの成る木」にすぎません。その木のもとへせっせと通えば、1か月後には自然に給料という名のカネが成ると思っています。しかし、経営者のほうはその木を懸命に育て、枯れないように維持し、給料を捻出していかなければなりません。この意識の落差には「めまい」すら覚えてしまいます。
それは甘いと叱られるかもしれませんが、私は社員にもっと期待していました。私が資金繰りや給料の捻出にどれだけ苦心しているかはともかく、せめて会社の現状がどうなっているかぐらいは、理解しているものと思っていました。ところが、さっぱりです。それは給与カットの一件でよくわかりました。自分の給料が減るということはよくわかっても、そうせざるを得ない会社の現状には理解が及んでいないのです。
そこで、私は具体的に数字を示し、このままでは倒産するしかないことを力説しました。と、そこで社員の意見が二つに割れ、給与カットの拒否派と受容派に分かれたのです。前者はあくまでも拒否の姿勢を貫き、会社を辞めていきました。社員二人とパート一人です。私はやるせない気持ちを禁じ得ませんでした。経営者にとっては、できれば遭遇したくない場面です。
が、それが結果的には不平分子がいなくなり、かえって社内の結束が固まりました。何よりもうれしかったのは、「社長、ここは踏ん張って、何がなんでもはい上がりましょう」という若手社員やベテラン社員の声に接することができたことです。その声が私の「やる気」に火を付けました。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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