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ブログ・野口 誠一
第371回:あっけなくピリオド
2012年7月30日
倒産のきっかけは、当社の風評に不安を抱いた大口の仕入れ先が、担保の提供を要求してきたことが始まりです。しかし、会社の土地も工場も、私達役員4人の個人資産も、すべて銀行の担保に入っていて、差し出す担保など何もありません。するとその仕入れ先は、当社の得意先に直接掛け合い、当社の売掛金を担保にしようと画策しはじめました。
これがトラブルの元です。というのも、その売掛債権はすでに、ある大手製粉系列の商社に担保設定されていたのです。当社が銀行に新規融資を断られて困ったときに、その商社から資金援助を受け、その担保として提供していたのです。そこへ仕入れ先が介入すれば、担保の二重設定となってしまいます。案の定、トラブルとなりました。
怒ったのは商社です。すでに売掛債権譲渡の契約を結んでいたのですから当然です。その商社は東京にありました。私は何度も上京し、関係修復を図りましたが、事態は好転しません。ついに得意先へ、内容証明郵便で売掛金入金の変更通知を出されてしまいました。合わせて4社、売り上げの70%です。その入金がストップしたのですから、もはやどうにもなりません。
さんざん悪あがきしましたが、とうとう息の根を止められてしまいました。倒産です。平成18年9月30日、私と役員3人で弁護士事務所を訪ね、整理の打ち合わせ。同10月2日、手形不渡り。その日の夕方から金融機関、その他の債権者が殺到しましたが、弁護士が介在していたこともあって、乱暴な事態にはなりませんでした。そこで、今後は裁判所を通じて自己破産(個人・法人)の申し立てを行い、債権者集会が開かれる旨を説明しました。こうして38年間続いた経営に、あっけなくピリオドが打たれました。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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