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ブログ・野口 誠一
第355回:リストラに苦労
2012年4月16日
私たちが改善策の作成に当たって、もっとも苦労したのは人員のリストラである。Mさんの場合、人件費が全経費の半分以上を占めていたから、これは避けて通れない。私がもっとも給料の高い二人を指名すると、Mさんが驚いて「この二人はダメです。うちで売り上げ一番と二番のセールスマンですから」という。
しかし、私は譲らなかった。聞けばその二人は会社の車を自由に乗り回し、朝ろくに出社もせず、自宅からそのまま得意先や取引先に直行しているとのこと。いかにトップの営業マンとはいえ、会社がそんなことを許してはいけない。おのずからけじめは必要だし、他の社員への示しもつかない。
「この二人を切るのは、何も人件費の削減だけが目的ではありません。知らないのは社長だけで、おそらくこの二人は会社のガンになっているはずです。そのガンを取り除き、会社の体質を変えないと真の改善にはつながりません。靴のルート・セールスぐらい誰にだってできます。特別な技能や技術が要るわけじゃないでしょう。管理部門からどんどん人を回せばいいじゃないですか。社長をはじめ全社員がセールスマンになるぐらいの覚悟がなきゃ、売り上げを伸ばすことなどできません」
Mさんは私のアドバイスに従ってくれた。次は給与の一律15%カットである。Mさんは渋った。社長にとって給与カットを口にするほど辛いことはない。が、情に流されて会社を潰すわけにはいかない。
「これも人件費の削減だけが目的ではありません。ショック療養です。会社が倒産の瀬戸際なんですから、社員にもそれ相応の危機感を持ってもらわないといけません。ついでに健康保険や厚生年金も個人負担、退職金は当分なしです」この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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