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成功し続ける起業家はここが違う(久永陽介・著、同文館出版)
2009年8月26日
オアシスグループの代表として約30数店舗のサロンを開業させた実績を持つ久永陽介氏。『成長し続ける起業家はここが違う』は、同氏がある恩師との出会いをきっかけに東洋医学を志すようになり、6年間新聞配達を続けながら6つの学校を卒業して治療家となり、そして経営者となっていく過程が描かれている。
久永氏
現在は自社のサロンの経営のかたわら、これまでの経営で積み重ねてきたノウハウをもとに、セラピスト養成セミナーやサロン・治療院のコンサルティングを行っている。日本オリンピック委員会強化スタッフトレーナーという肩書きも持つ。セミナーには、サロン経営のヒントを得ようと多くの人が集まるという。同氏は、「『無形のサービス』を提供するという点では、サロン経営と物流は似ているかもしれない」と話す。鍼灸、マッサージ、整骨院などを合わせたサロンの店舗数は全国に10万軒とも言われているそうで、過当競争が激化している点も物流と共通だ。
「サロンは治療家、運送事業者はドライバーと、どちらも『職人』が起業するもの。『良いサービスさえ提供していれば客が来るだろう』と考えて開業するが、待っていてもお客さんはやってこない。しかし、それを分からずに開業してしまうケースが多い」
同著では、同氏が「一職人」から「経営者」へと脱皮していくさまが描かれる。従業員の教育、競合との差別化、マーケティングの方法、資金についての考え方など、業界を問わず参考になる話が多い。そんな同氏がいまでも大切にしているのが「他の業界から学ぶ」という姿勢だという。
「業界の常識は、他の業界の非常識。逆もそう。出版やメールマガジンを集客に役立てている会社は、サロン業界には他にはなかった。また、異業種の集まりに顔を出すことによって、意外なコラボレーションやタイアップの芽を見つけることもできる」
先日も、一級建築士向けの営業セミナーに足を運んだという。
「『職人』という意味では一級建築士も似た部分がある。一見畑違いに思えても、自分のビジネスモデルに置き換えればどんな話も参考になる」
経営者として、そしてコンサルタントとして、忙しい毎日を送る同氏。「仕事をする上で最も大切にしていること」を問うと、「相手を喜ばせること」という答え。
「ご縁を大切にして、自分が関わった人が喜んでくれることを常に意識している。たとえばセミナー講師をする場合は、1万円のセミナーなら3万円分の価値を提供しようと思ってやっている。また、経営者としては『一歩先の需要』を見極めること」
同氏は集客施策の一つとして、携帯電話向けのメールマガジンを毎日配信している。読者に「お役立ち情報」を届ける内容となっているのだが、書かれているのは「サロンに行かずに自分でできるストレッチ」などのノウハウ。これを読めばサロンに行かずに済み、集客どころか店離れを起こしてしまうのでは?と思ってしまうのだが、同氏は「『お客さまが本当に求めているのは何か』を考えないと」と一蹴する。つまり、お客は「店の情報」ではなく、「体をほぐす」「癒される」などの効果を求めているということ。その「求められていること」を発信し続けることで、有力な「見込み客」を育てることとなる。その客は、施術が必要となった時には必ず「情報をくれていたサロン」を訪れるーというわけだ。同氏は、「物流でも、『運送会社を使わずに重い物を運ぶコツ』などを発信すれば良いのでは」と集客のヒントをくれた。
▼「成功し続ける起業家はここが違う」久永陽介・著、同文館出版、1500円(税別)
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