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ブログ・高橋 聡
第180回:新型コロナウィルス対策 給付金・助成金等の活用について
2020年8月20日
このシリーズでは、新型コロナウイルスへの対策に関し運送業経営者が押さえておきたい労務管理上のポイント、知っておきたい事項について説明してまいります。
新型コロナの影響で、トラックの稼働状況に影響がでた場合であっても、賃借料、保険料、車検関係費、修繕費、保険料そして人件費など、固定費は売上高に影響なく発生します。事業の継続において手元資金を確保する事は最も重要です。
新型コロナウイルスの影響で売上高、入金額が減少する会社に対し助成金、助成金が準備されています。融資と異なり、これらは返済不要ですので、要件にあてはまる場合は積極的に活用すべきです。
まず、売り上げが単月で50%以上減少している場合は「持続化給付金」(最大200万円)の支給が受けられます。外国からの荷物を扱う海上コンテナ会社など、売り上げが激減している会社は活用すべきです。
雇用関連の助成金として最も大型の助成金は、社員を休ませた場合などに会社が支払う休業手当を助成する「雇用調整助成金」です。手続きや計算方法が煩雑でしたが、かなり簡素化されて申請も容易になりました。この助成金は国から給付される金額は総額人件費ベースで計算され、社員に支払う休業手当の金額は「平均賃金」(3か月給与総額÷総日数×6割)を最低基準として「所定内給与等」によることも可能です。社員に支払う金額は「所定内給与等」基準で計算する方が高くなります。1人当たり日額が8330円から1万5000円に引き上げられ4月1日から9月30日までの休業に対し助成されます。解雇などをせず雇用維持に努めた場合の助成率は10分の10になるなど、実質負担額が少なくて済むよう改善されていますので積極的に活用し雇用を維持していくことをお勧めします。
小学校などの休業に伴い女性ドライバーや事務員さんが会社を休まざるを得ない場合には、休暇時の給与を助成する「小学校休業等対応助成金」があります。年次有給休暇と別枠で休暇を付与した場合に支給される点には注意が必要ですが、こちらも1人当たり日額が8330円から1万5000円に引き上げられています。
また、新型コロナウイルスが事業環境に与える特徴的な影響を乗り越えるために投資を行う事業者に投資した金額に対し上限1000万円(特別枠50万円あり)補助する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」があります。こちらは、給与総支給額の増加や最低賃金プラス30円以上の給与支払いなどを盛り込んだ事業計画の策定及び社員への表明が必要であるなど、要件面でのハードルは少し高いですが、補助金額も大きいので関心があれば申請を検討ください。
(令和2年6月17日時点の情報に基づき記載しています。詳細はHPなどをご確認ください)
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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