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ブログ・高橋 聡
第253回:令和時代の運送業経営 給与DX編(51)
2023年12月25日
【給与DX編】51
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
前号に続き「給与DX」をテーマに運送業経営者が知っておくべき事項について解説してまいります。(その10)
1.給与DX設計の留意点
給与計算に手間がかかっている会社は大変多いので、給与DXにより計算の自動化が進むことは経営上の大きなメリットとなります。ドライバー給与に関することは経営者、経営者家族以外の社員に任せられないという事情もあり、締め切りから支払いまでの期間に相当な時間を費やし、計算を行っているのが実態だからです。
また、運送会社向けのシステムも「給与計算」に関して自動計算が可能なシステムにはなっておらず、市販されている給与ソフトもデジタコや運賃請求システム、コース別運行単価にコース別運行回数をかけて計算することを実施するという仕組みにはなっていないのが実情です。
さて、給与DXを設計していこうとした場合の重要事項として「全体最適」を図るということがあります。運賃請求にしてもコース別運行単価にしても、それだけが可能となっても給与計算が可能となるわけではありません。
また、デジタコやアプリなどで収集した時間系データも「所定労働時間・総労働時間・時間外時間・深夜時間・休日時間」という給与計算に必要な種類毎時間を正しく捉えて給与ソフトと連携させる必要があります。
給与体系に出来高がある場合に関しては、時間系データと出来高系データが必要で、どちらかを独立して設計するのではなく給与DXのためにデータ連携やコスト試算を行うという「全体最適」という考え方が必要です。
2.外部との連携
本来DXという概念は社内に止まらず、社外のシステムとも連携していくことを目指す概念です。 例えば協力運送会社への受発注や荷主に対する請求、入金について、あるいは、接車指示時間や到着時間、荷物の位置情報、状態などに関し「荷主企業」とも連携しそれぞれの会社において事務手間を減らしていく考え方です。そのためにはまずは社内のDX化を進めて行く必要があります。特に手間暇のかかる給与計算を基軸としてシステム設計していくことが必要になっていると考えます。
社外の協力会社や荷主との連携が進む際にも全体最適の概念が必ず必要となるでしょう。
社内の業務を見直して「手間がかかっている業務」「間違えが起こりやすい業務」を対象に見直しを図り、そのなかでDX化を進め、将来、外部機関とも連携していくこと、経営者はマネジメントに注力していくことが可能となっていくでしょう。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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