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ブログ・高橋 聡
第272回:令和時代の運送業経営 管理職編(70)
2024年9月19日
【監査・調査対応編】70
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も前回に続き「監査・調査対応編」として、労基署等への調査対応について解説してまいります。
1.是正勧告の内容
労基署調査により「是正勧告書」「指導票」が交付されたが、その内容に「疑問がある」場合の対応方法について解説してまいります。今回も筆者が実際に直面した「割増賃金未払」「最低賃金法違反」に関する事案です。
上記の給与体系について、労基署から「割増賃金未払」「最低賃金法違反」との指摘を受け、「労働者●●について令和4年4月から令和5年5月までの割増賃金未払および最低賃金法に定める金額以上の金額を支払うこと」という是正勧告が出されました。
労基署監督官の指摘としては、定額残業手当÷45時間÷1.25=766円となり「最低賃金」に違反するため、「最低賃金額で再計算(2023年5月時点での神奈川県最低賃金額は1040円)し、労働者が在籍していた期間に遡及して割増賃金を計算、支給すること」というものでした。
2.是正勧告への対応
同社は労災事故があり労基署からは何度か指導を受けていたものの、給与体系については特に問題を指摘されたことはありませんでしたが、退職に伴い少し揉めたドライバーが労基署に相談にいき、その申告が契機となって調査が行われました。是正勧告を受け、「支給内容に問題がある場合、ほかのドライバーにも遡及して支払わなくてはならない」等と不安になっておりました。
そこで、「最低賃金は『所定内手当÷所定労働時間』『歩合給÷総労働時間数』の合算額で確認するルールとなっており、上記給与制度では1260円以上となるため問題ない」と主張したところ、監督官が認識誤りを認め是正勧告書を取り下げていただくこととなりました。
調査の際に慌てることのない制度にしておくことが大切です。また、疑問に思った点は主張していくことも必要と考えます。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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