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ブログ・鈴木 邦成
ロジスティクス・荷主企業との交渉
2010年5月9日
否認の機能
ある著名な米国の精神科医によると、「物事を否認する」という人間に備わる機能は、衝撃的な事柄などを知ったときに、そのショックを和らげるということにあるということです。
誰もが自分の予想もしなかった事実を素直に受け入れることはできないわけです。
この考え方を企業の業務改善などへの提案を行う場合にも意識していると、交渉のプロセスをうまくアレンジする際に有利です。
相手にとってショッキングな改善提案がいったんは否認されることを見据えて、タイミングをはかりながら話し合いをゆっくりと進めていくのが望ましいケースが少なからずあるわけです。
たとえば、荷主企業が、ロジスティクス部門で予想もできなかったような非効率性を外部のコンサルの先生や3PL企業などから指摘された場合、以下のようなプロセスとなる可能性があります。
対応のプロセス
まず、荷主企業の物流課題が鮮明になっても、「それは何かの間違いではないか」といった事実の否認を行ってしまうことが考えられます。
「指摘するほうが当社の現状を理解していないんだ」という怒り、あるいは反発を抱くこともあるかもしれません。
しかし、より深い話し合い、説明などを受け、自社の問題点を認めざるをえなくなると、「それはどうしても無理だから代わりに・・・とできないだろうか」などと、なんとか妥協点を見つけようとし始めることになります。
そして、さらに詳しく状況を分析し、改善後の効果、方策を細かく説明され納得がいけば、最終的には改善提案を包括的に受け入れることになるわけです。
いくら優れた改善提案でも即座には受け入れられない可能性があるということを強く意識しておくことが、最終的な相手の「受容」を引き出すコツといえるかもしれません。 -
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筆者紹介
鈴木 邦成
物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。 -
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