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ブログ・鈴木 邦成
第28回:電子商取引市場の課題
2005年5月22日
米国では日本の消費税にあたる売上税を各州ごとに定められた税率に従い、商品購入時に支払う。売上税の税率は各州ごとに異なる。また州だけではなく、群や市などが課税主体となることもある。例えばニューヨーク州で商品を購入した場合は、ニューヨーク州の定めた4%という売上税を商品の値段に上乗せするかたちで支払う。
だが消費税率六%のカリフォルニア州に住む人が4%のニューヨーク州の会社の商品をインターネットで購入した場合、状況は複雑になる。州外からインターネットなどで商品を購入した消費者は自分の州で商品購入の申告を行い、売上税と同率の「使用税」を支払うことになっている。
しかし、この使用税の申告はあくまで任意。消費者がどれほど正直に申告しているかを追及されることはない。そこで多くの企業はネットショッピングの売上税課税には反対している。税金をきちんと課すことは不可能だからだ。2006年までにネットビジネスにおける課税申告漏れは450億ドルに達する見込みだ。
こうした事態を憂慮して、米国では売上税制度自体の見直しの機運が出てきている。ネットショッピングなどが、「節税対策」となることを回避するためだ。
例えば「売上税簡素化プロジェクト」が結成され、インターネット税制システムをより一層、簡素化する方策が探られている。米国の売上税の動向は日本企業にとっても気になるところだ。ネット物流システムにも微妙な影響を与えることは間違いない。日本の消費税もネットビジネス時代にうまく対応していかなければならないからである。この記事へのコメント
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筆者紹介
鈴木 邦成
物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。 -
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