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ブログ・上西 一美
第93回:リスク上がる行為 運転中は控えて
2023年4月25日
日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。今年2月4日に興味深い事故の報道がありました。その記事には昨年11月11日、群馬県の上信越自動車道で発生した玉突き事故の判決が書かれていました。
自動車運転致傷行為処罰法違反に問われた運転者に対し、禁固2年、執行猶予4年の判決が言い渡されました。判決によると、被告人はトラックを時速80キロで運転中、渋滞で徐行していた車に追突し、5人を死傷させたということです。
その運転者は、「タバコを取るために脇見をした」と証言し、裁判官は「トンネル内ではより慎重な運転をすべきだった」と非難したそうです。
喫煙者の方には耳の痛い話かもしれません(私は喫煙しませんので気持ちがわかりません…)が、運転中の喫煙は、やはり、リスクが若干でも上がることは事実です。
東北大学の研究では、茨城県内の9万7000人余りの20年の追跡結果により、「1日20本以上、タバコを吸う男性は、吸わない人と比べて、交通事故で死亡する危険性が1.54倍高い」という結果が出たそうです。
また、私が過去に見たドライブレコーダーの映像では、タバコに火をつけようとして脇見をした瞬間に、信号無視で交差点に進入、相手の側面に衝突し、助手席に乗っていた女性が出血多量で亡くなりかけたという事故もありました。
これはタバコに限ったことではありません。先日、知り合いの会社では、飲み物を取ろうとして歩道に乗り上げた事故もあったそうです。
運転中は両手でハンドルを持つことが、道路交通法第70条で定められています。もちろん、運転中は飲み物も飲めないのかという意見もあると思いますが、できる限り停止時に飲んだり、タバコに火をつけた方が、リスクが低いことも事実です。
そのような一瞬の片手運転で事故に至ったことがない方が大半だと思いますが、それは今までの話です。人間は成功体験を積み重ねるとそれが当たり前になるものです。今までのことは一度リセットして、これからの運転を考えてください。
タバコを吸うことがいけないのではなく、運転しながら火をつけたり、脇見で前を一瞬でも見ないことが問題なのです。運転中は、少しでもリスクが上がることはできる限り控えてください。
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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