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ブログ・上西 一美
第86回:過失の有無や大きさは関係ない
2022年12月20日
日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。私はYouTubeで配信しているのですが、「この事故はどちらが悪いのですか?」とよく質問されます。この「どちらが悪い議論」は、セミナーでもよくあります。しかし、これは事故が発生してからの民事の話です。
私がセミナーでお伝えしているのは、事故が起きる前の予防の話です。そこには、過失の有無や大きさは関係ありません。単に、交通事故を起こさずに、また巻き込まれない運転をどのようにすれば良いのかが重要です。
なぜなら、私たちの仕事は、「荷主の大切な荷物を安全に確実に運ぶ」ことだからです。たとえば、相手の過失が高い事故をもらったとします。その時に、顧客へ事故の発生と自車に過失が低いことを伝えます。顧客は、「大変ですね、わかりました」と言ってくれますが、顧客にとって大切なのは、過失の有無ではなく、荷物が到着するかどうかです。
「停止中に追突された」など、防止できない事故は存在しますが、10%でも過失が発生するということは、10%、その事故を防止できたということです。プロドライバーや運行管理者は、その10%にこだわって運転や運行管理をして頂きたいものです。
私は講師業を19年やっていますが、実は当初から、パソコンを常に2台持ち歩いています。相当重いのですが、その理由は、パソコンがトラブルで使えない場合、セミナーができなくなるからです。
講師の過失がなくても、結果として、セミナーができなかったという事実は残ります。それで顧客に納得してもらえるのか? 私のセミナーはドライブレコーダーの映像を使うのが特徴です。パソコンのトラブルだからといって動画なしで納得して頂けるのか? それは、まずないと思っています。
では、「データだけを持ち歩いて、万一の場合は主催者にパソコンを借りれば良いのでは?」、これもよく言われますが、パソコンのスペックにもこだわっており、満足なパフォーマンスができないのも、プロ講師としては許せないのです。
プロは結果がすべてで、過失の有無にこだわるものではないと思います。ぜひ、交通事故をなくし、荷物を確実に届けるという結果にこだわった運転・運行管理を行って下さい。関連記事
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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