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ブログ・上西 一美
第4回:「感覚というあやふやな根拠」を疑う
2019年7月31日
皆さん、こんにちは!交通事故防止コンサルタントの上西です。
私が理事長を務める一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)では、KYT動画(KYT=危険予知)と、国交省が定める指導指針12項目を、ドラレコ映像を用いて作成した教材にして、毎月、会員に送付しています。
その教材の5月号では「自転車の危険性」を題材にしました。
この時期から自転車事故が増える傾向にあるのですが、この時期は自転車ともう1つ意識しないといけないのが「子供」です。
特に低学年の子供が被害に遭う事故が多いです。
理由はいろいろ考えられますが、小学生になって親の送迎がなくなることと、4月は集団下校をしていた学校が5月には止めることも影響しているようです。
時間帯別では下校時以降(午後)が多いということなので、5月は生活道路を走行する際は、「下校時以降の子供の飛び出しに注意する」ことを点呼や安全会議で共有して下さい。
この統計には、実は隠れた問題点が1つあります。
皆さんは子供の事故と言えば、何月を連想しますか?
セミナーでこの質問をすると真っ先に返ってくる答えが「8月(夏休みから連想?)」です。
しかしながら、この警視庁の統計によれば、8月が5月の3分の1で、しかも12か月を通して一番少ないそうです。
交通事故防止の仕事を長年やっていると、このような根拠のない「思い込みや決め付け」が多く存在することに気付きます。
もちろん、8月が少ないのは運転者が子供の動向を意識するからかもしれません。
しかし、このようなデータの裏付けもない、ただ感覚に頼る交通事故防止が、効果を発揮するとは思えません。
経営者や管理者の皆さん、交通事故の検証をして、その結論を出す前に、いま一度その「感覚というあやふやな根拠」を疑ってみて下さい。
この記事へのコメント
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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