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ブログ・上西 一美
第10回:ブレーキで回避できる車間距離
2019年10月18日
皆さん、こんにちは! 交通事故防止コンサルタントの上西です。
今月の一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)の教材では、「先行車の急ブレーキによる追突事故の事例」を採用しました。
道路交通法では、危険を回避する目的以外での急ブレーキは禁止されています。よって、信号の見間違いなどで急ブレーキを踏み、後続車に追突された場合、急ブレーキを踏んで停止した車両にも過失は発生します。
しかしながら、道路交通法では車間距離の保持が義務化されていますので、やはり追突した後続車の過失の方が大きくなるのです。
実際、私がタクシー会社時代に、先行車が信号を見間違えたことが原因で、運転者が追突事故を起こしましたが、先行車の過失は20%しか発生しませんでした。
さて、この車間距離ですが、皆さんはどのぐらいの距離を確保しますか? 道路交通法では、明確に何mとは定められておりません。『同一の進路を進行している他の車両などの直後を進行するときは、その車両が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離』としか記載されていないので、車間距離は各運転者の感覚で変わっているのが現状です。
セミナーで車間距離の話をさせて頂く時、私は基準を2つお伝えします。1つは、先行車の急ブレーキなどの予測不能な動きを、ブレーキで回避できる距離であることです。
この「ブレーキで回避する」という部分にこだわって頂きたいのですが、事故映像を見ていると、ハンドルで回避しようとして接触する事例をよく見ます。これは明らかに運転者が速度超過を感じて、「ブレーキでは間に合わない」と判断した時の行為です。
ここでいう「速度超過」とは、その危険に対して通常の運転で停止できる速度を超えているという意味で、法定速度や制限速度を超えているという意味ではありません。
法令で定められた速度を守ることは当たり前であり、運転者は、自分が予測する事態をブレーキで回避できる速度を基準に考えて頂きたいのです。制限速度内でも、速度超過状態である場合は、十分ありえるのです。
そして2つ目、これは次回にご紹介します。
この記事へのコメント
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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