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製品・IT
業務請負のPAL「派遣正常化宣言」で業界の現状にメス
2009年7月3日
「クライアント企業」と「労働者」、双方にとって最大の利益となるアウトソーシングサービスを提供したい―。
物流センターに特化した人材サービスを展開するPAL(大阪市西区)の辻有吾社長の想いだ。
同社は、業務請負と派遣の2軸で事業を展開。派遣業界が「日雇い禁止」や「派遣抵触日」などの問題で揺れるなか、同社は請負を強化することで物流企業のニーズに応えている。辻社長によると、同社の「請負」の強みは「利益の出る現場にすること」だという。
同社は、これまでに蓄積してきたノウハウをもとに、日ごとのセンター需要予測を統計学的に実施。予測に基づいた人員配置を行うことで、無駄のないローコストオペレーションを実現しているという。
また、作業工程ごとの費用を割り出すことで、「根拠のある人件費」を提示できるのも強みだ。さらに、同社長は、「物流現場の作業を熟知したスタッフが、的確なゾーニングを行う。偽装請負などの心配もない」と付け加える。
一方、派遣事業では新たな取り組みを開始している。まずは、先月発表した「派遣正常化宣言」。これは、(1)労働者賃金を基準とした派遣料金の算出、(2)労働者賃金を優先確保した派遣料金の算出、(3)派遣料金内訳明細の全面開示ーーの3つから成り、「派遣料金がブラックボックス化している」という業界の現状にメスを入れるものだ。
具体的には、派遣料金の明細に給与や保険、税金、事務手数料等の内訳を細かく記載。あくまでも「スタッフへの給与」をベースとし、そこに経費を積み上げていく形をとる。同社長は、「『上代』で請求するのが派遣業界の常識になってしまっている」と現状を指摘。これを解決するための同社の「回答」が、今回の「派遣正常化宣言」だ。派遣業界の「暗黙の了解」を崩すとも言える施策だが、「産業が大きく変化したいま、アウトソーシングの業界にもパラダイムシフトが求められている。これからは『人』の時代。『同一労働、同一賃金』の原則に立ち返り、雇用の正常化を促したい」とし、高い志を持って取り組む。
さらに、企業が直接雇用を強化している流れを受け、それに合わせた紹介予定派遣サービスも開始。直接雇用の前に、「派遣」契約(1か月ー最大3年)、「紹介予定派遣」契約(1か月ー最大6か月)の期間中に適性を見極め、的確な人材を採用するーーというのが新たなサービスの内容だ。
直接雇用時にかかる紹介手数料は最大で10万円。抵触日まで派遣契約だった場合を0円とし、紹介成立日が抵触日に近いほど安くなる仕組み。一般的に、紹介料はスタッフの年収の1ー3割程度とされており、それに比べると価格が大幅に抑えられていることが分かる。
同社長は、「『直接雇用』が雇用の本来の姿。それを目指す上で、派遣会社として提供できる有効なスキーム」と同サービスを説明する。
同社HPは、http://www.pal-style.jp/ -
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