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製品・IT
トーコー 弱くなったバッテリーを再生
2016年9月23日
埼玉県入間市の機械メーカー、トーコー(古井湜社長)は、弱くなった鉛バッテリーを再生する「バッテリー蘇生システムBREー1」を開発し、販売を開始している。
同社は、元々は板金塗装乾燥用ヒーターを主力製品として製造する会社だが、2年間の開発期間を経て、既存のバッテリー再生機とは異なる再生原理のシステムによる再生機を完成させた。
開発者の一人である同社の望月洋介氏はバッテリーが弱くなる原理として「バッテリー内の電極板に充放電の繰り返しによって結晶化した硫化鉛がこびり付き、電気の流れを阻害するため。既存の再生方法は主に二つで、一つは電圧をかけて電極板から硫酸鉛を剝ぎ取る電磁パルス方式。もう一つは電気を通しやすいカーボン粉を加えることで充電可能な状態に戻す活性剤注入方式。どちらも再生効果はあるが、パルス方式はバッテリー液中に一時的に散らばるだけなので、また電極板にこびり付きやすく、添加剤の方は充電機能が蘇る分、放電も活発になってしまうという特性がある」と説明。
「我々が開発した再生機は結晶化した硫化鉛を希硫酸ミストによる化学反応によって鉛と希硫酸に分解し、購入時のようにバッテリー液に戻すことで初期状態にする方法。バッテリー本体に負担をかけず、12Vのバッテリーなら2〜3時間で充電しながら蘇生できる」という。
「問題は、蘇生処理をするときに強い悪臭を放つ硫黄酸化物が発生するため、この処理をどうするかということだった。大量に吸い込むと健康にも良くないが、中和剤を通すことで脱臭・無毒化できる。そのため作業ケース内で脱臭装置を通して排出するまでを一連のシステムとして完成させた」と話す。
この蘇生システムはバレット半分程度のスペースに置ける大きさで、使用する希硫酸も中和剤も大量保管しなければ、取り扱いに特に資格は不要。価格は既存品が100万〜300万円であるのに対し、66万円。メンテナンスフリーの使い捨てバッテリーや、内部に破損などがあるバッテリーは蘇生できないが、内部破損などを調べ、蘇生可能かどうかをテストする方法もセットで付いている。
「車検の時期にあわせるなど1年から1年半程度で定期的にバッテリー蘇生することで少なくとも5〜6年は問題なく使用可能になる。蘇生処理後の状態を大学の研究室に検査を依頼したところ、新品同様の状態に戻っているというデータも確認できている。コスト削減と何より環境に優しい処理なので、ぜひ広めていきたい」と語る。同製品は現在特許申請中。
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