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製品・IT
フリッカーヘルスマネジメント 疲労計測システムで安全運転
2017年5月1日
運送事業者にとって、安全は何より優先して取り組むべきテーマと言える。事故防止にはドライバーの健康管理が重要で、事業者は「ドライバーが疲れていないか、無理をしていないか」などを常に把握しておく必要がある。産業技術総合研究所の技術移転ベンチャーであるフリッカーヘルスマネジメント(原田暢善社長、埼玉県新座市)は、スマホを使って「いつでも、どこでも、簡単に」疲労の計測を行うことができるシステムを開発した。
光が高速で点滅していると、人にはそれが点滅しているとは見えない。しかし、点滅の速度をだんだん遅くしてくると、あるところで光が点滅しているのが分かる。点滅する光の周波数を変化させた時に、点滅感覚が発生する周波数閾(いき)値をフリッカー値と呼び、フリッカー値は、疲労の蓄積とともに減少する性質があるという。疲労に伴い光のチラツキを認識する能力が低下するという性質を用いて、疲労計測を行う方法が「フリッカー疲労検査法」だ。
計測原理が報告されて以来、約80年の研究の蓄積のある同検査法だが、研究分野での広範囲の利用に反して、日常生活への普及は十分ではなかった。その理由として、「計測装置が巨大であった」「計測装置が高価であった」などが考えられた。同社はこれらの問題点を解決し、「いつでも、どこでも、簡単に」自分自身の精神的疲労を計測できるシステムを開発。携帯電話やスマホなど携帯端末の機能を活用し、アプリをダウンロードするだけでフリッカー値を計測できるという。
計測方法は、画面中央に表示された四つの三角形のうち、どれか一つだけが点滅するので、それを判断する。点滅の明瞭度は時間とともに上昇し、だんだん点滅が見えやすくなり、チラツキが知覚できた時点でその三角形の方向を指先でタップして回答する。測定結果をFHMデータベースに送信すると、データベースに登録されている標準値を比較して、現在の疲労状態の評価結果が表示される。疲労状態は「元気です」から「病院に行きましょう」まで4段階で示される。
運送事業者やバス事業者などの間で導入が進んでいる同システム。原田社長は「疲労に起因する事故を減らしたい。このシステムを活用して『病的疲労状態』となるのを未然に食い止めて頂ければ」と、さらなる普及を目指している。
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