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製品・IT
東海クラリオン 先進運転支援システム「elpis」
2017年11月24日
昨年の軽井沢スキーバス事故は、まだ記憶に新しく、他にも山陽道トンネルのトラック事故、つい最近あった徳島のバスの死傷事故など、まだまだ大型車両が関係する交通事故が後を絶たない。しかし、交通事故は尊い命を奪い、業界団体全体が社会の信用を失う忌避すべきものである以上、事故ゼロを目指さなければならない。今回は、東海クラリオン(安部源太郎社長、名古屋市中区)が事故撲滅に貢献しようと新たに開発し、販売を開始した先進運転支援システム「ADAS」を搭載した「elpis(エルピス)」の事故防止能力について、渡邉紀昭次長(写真左)と森下彰彦主任(同右)に話を聞いた。
エルピスは、車両フロントガラスへ後付けできるカメラで、優れた画像認識技術を駆使して前方の車や速度を的確に認識し、事故につながる可能性を事前に察知することで警告音を発し、回避を促して事故を防止するというシステム。
警報が鳴るシチュエーションは五つある。①通常走行中に前方衝突の危険性が出た場合②居眠りや、よそ見などでふらつき運転をして車線を逸脱した場合③渋滞中など時速30㌔㍍以下の速度で走行中に前方車両が接近し、衝突の危険性が出た場合④走行中の車間距離が短くなった場合⑤前方車両が発進したにも関わらず、自車が発車していなかった場合(信号待ち時のよそ見など)、の五つだ。
このように自動で警告してくれるシステムだが、それぞれで警告レベル(車間距離やライン逸脱の判断基準など)を設定できるようになっており、各社に合わせた設定が可能。なお、取り付けと設定は専門のサービススタッフが行う。
森下主任は「最大100m手前から前方車両を認識することができる。前方車両と走行中の自車の相対速度や車間距離をリアルタイムで計算し、衝突の危険性を判断してくれるので、高速道路上での漫然運転などでも回避やブレーキを誘導し、悲惨な事故を防いでくれるのではないか」と期待を込める。
なお、エルピスの安全運転支援精度の高さについては、森下主任は「エルピスは、自動車の欧州安全基準でもあるUNーECE規定130号(車線逸脱装置に係る統一規定)をクリアしている」と例を挙げている。これをクリアし、かつ後付けできる先進運転支援システムは、国内でも東海クラリオンを含めて2社しか存在しないことからも、同社がいかに先進運転支援システムの開発に力を入れているかが察せられる。なお、森下主任は「現行、他社のECE規定130号をクリアしたモデルよりも最大で半分まで導入コストをダウンできる」と、さらなるアピールポイントを教えてくれている。
エルピスにはドライブレコーダー機能(記録時間は32GBの記録装置で最低約5時間〜)もついており、ドラレコと追突防止装置を対象とした補助金両方に適用することが可能だ。渡邉次長はレコーダーの機能について「レコーダー機能と連動して、どの警告音が鳴ったかも記録されるようになっている。どのシチュエーションで警告されたか確認することで、KYTなど社内研修での良質な資料として活用できる」としており、また併せて「警告音が鳴らない運転をドライバーが目指せば、自然と安全運転につながる」と力説しており、人的教育コストの削減にもつながることを教えてくれている。
値段は税と取り付け料別で10万円(モデルDSー3002J)、前方車両との接触予測時間や左右車線ラインの逸脱を色付きで教えてくれるインジケーター付きのモデル(DS︱5012J)であれば11万5000円だ。今後はさらに対応シチュエーションを増加させていくほか、オプションを充実させていく予定。国内での販売はクラリオングループを通じて行われる。
すでに大手の一部上場企業などでは全車取り付けが決まっており、注目も集まりつつある。より高い安全運行を確保するためにも、導入を検討する企業も出始めている。
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