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製品・IT
いすゞ「ギガ」シリーズ、「事故直前」の対応追求
2008年1月22日
交通事故を未然に防ぐとともに、衝突事故の被害を軽減する車の開発・普及が進んでいる。ドライバーの安全運転を支援する「ASV(先進安全自動車)」と呼ばれるものだ。
トラックの事故は周囲にもたらす被害が大きく、特に大型トラックの事故の約55%は追突で、これによる死亡率は乗用車に比べて約12倍(全国交通事故統計)というデータもある。
昨秋、いすゞ自動車は大型トラック「ギガ」シリーズに、先進安全技術を新たに盛り込んで発表。衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュブレーキ」と、横滑り防止装置「IESC」を同時に搭載した。
同社CV製品企画・設計第一部の半田正利チーフエンジニア(写真右)と、プログラムマネジメント部の吉田将剛シニアスタッフ(同左)は、「これまで大型トラックの安全対策は、『事故発生前の予防安全』と『事故発生後の衝突安全』を軸に考えてきた。新技術は、それより踏み込んだ『余裕安全』がコンセプト。『事故直前の段階での安全対応』を追求した」といい、「大型車の先進安全技術としては、世界最高レベルを誇る」と自信を見せる。
「プリクラッシュブレーキ」は、先行車や渋滞末尾などの停止車両との車間距離が接近して追突の危険が迫った場合、ドライバーに警報を与え、注意を喚起。それでもブレーキ操作を行わず接近し続けると、自動ブレーキで減速するシステム。衝突時の速度を抑えることで、ドライバーを守るだけでなく、被追突車の被害を最小限に抑えるという。
同装置開発の鍵は、ミリ波レーダーの改良にあったという。同レーダーは常に車両前方を監視し、先行車両との車間距離を検知。警報装置や自動ブレーキなどと連動し、ドライバーの認知・判断・操作をサポートする。
同社では、以前から同レーダーの搭載車両を販売してきたが、半田チーフエンジニアは、「動く物体の検知に限られており、停止状態の車両を検知するのは困難だった」と話す。「車両前方には車両だけでなく、標識など停止物体があふれている」からだ。
新技術では、この課題を克服し、「停止車両への接近に対し、作動することが可能となった」。また、「ドライバーの意思や意図に沿った形で、違和感なく運行できる」のも特長で、「ドライバーの疲労を軽減させることも予防安全に貢献する」とする。
「IESC」は、コーナリング時など車両が不安定になった場合に、センサーでドライバーの操作状況や車両の状態をモニターし、横滑り・横転などにつながる危険な車両の挙動を抑制し、車両姿勢を安定させる。
両氏は先進安全技術について、「予防安全をサポートするもの」と強調し、「ドライバー自身が自発的にブレーキをかけることこそ最大の交通事故防止策」と付け加える。
なお、同社の「プリクラッシュブレーキ」は国交省が定める衝突被害軽減ブレーキの助成対象で、購入費用の半額が補助される。
◎関連リンク→いすゞ自動車 -
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