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    分散引っ越し 「引っ越し難民」対策への取り組み

    2020年2月20日

     
     
     

     「引っ越し難民」という言葉が、ここ数年で注目されるようになった。人手不足感が強い中で、繁忙期に集中する引っ越しユーザーに向けて用いられた現象を指す用語だ。もちろん、物流業者にとっても負担が集中してしまうなどデメリットがあり、国交省からも引っ越し混雑予想カレンダーが配布されているほか、全ト協からも「かしこい引越チラシ」が作成されるなど、色々と呼びかけが行われている。

     引越社(空雅英社長、名古屋市中川区)では毎年、全ト協からの分散引っ越しチラシの配布協力を、引っ越し難民対策として全国の全支店をあげて行っている。また、同時に分散に向け、取引先企業との事前打ち合わせを行っているようだ。

     物流分野以外からも「分散引っ越し」を応援する業界が出てきている。大阪府内で賃貸住宅の提供などの事業を行う大阪府住宅公社(大阪市中央区)では、1月6日から4月30日まで「新生活にトライ! 笑顔の暮らし咲き誇れお部屋探しキャンペーン」を実施している。その中でも、1月24日までは早期申し込み特典を実施した。同公団によると「キャンペーンは年に3、4回やっている。件数は公表できないが、早期割引を実施した際、契約件数が10%増加した。分散引っ越しに効果があったと感じている」としている。

     「引越し難民ゼロプロジェクト」を全国50社の引越会社とスタートさせたリベロ(東京都港区)。同社は引越会社同士のマッチングプラットフォーム「HAKOPLA(ハコプラ)」や、電気・ガスなどのライフラインの契約を一本化するサービス「手続きラクっとNAVI」などを展開している。同社の鹿島秀俊社長に話を聞いた。

     「引っ越しできないで困っているお客様がいるのだから、サービス競争をする前にそれを解決しないといけない」と考え、ハコプラでは、行きの引越荷物があっても帰りの引越荷物がない場合、引越会社同士のマッチングで解決する。「引越しラクっとNAVI」は、個人向けに物件探しと引越会社の見積もり取得を代行するサービスとしてスタート。「引越会社のロスをなくして営業利益を上げるのが目的。ロスをなくすことで引越対応件数を底上げすることができる。これが引っ越し難民の対策にもつながる」と説明する。

     「3月だけ人員を2倍にするとか、トラックを2倍にすることはできない。いまある分母でロスなくやることで底上げするしかない。繁忙期を基準に、人とトラックと家賃と地代を考えれば、閑散期の赤字が恐ろしい。4月をスタートとする、わが国の文化が変わらない限り、このビジネスモデルは変わらない」と指摘。「また、年間で赤字を出さない体制にすることが大切。赤字が出なければ、繁忙期に多く取る必要がなくなる。ダンボールなどの資材回収のマッチングサービスやトラックの空きスペースに複数の引越荷物を乗せるサービスをスタートさせている。このようなサービスを利用すれば、引っ越し件数を底上げすることができ、引越難民対策につながる」と話す。

     日本通運(齋藤充社長、東京都港区)は、「引っ越しピーク期間以外への分散のお願いを行うほか、先にご主人が少量の家財で単身引っ越しを行い、後日ご家族が引っ越しする方法や、着日に猶予をいただき家財の一時保管をする方法などを提案して対応を図る」としている。

     また、「作業戦力不足が予想されるなか、関係会社や協力会社からの車両調達や、社内の引越専門店所以外からも戦力を供給して対応する」考えだ。労働力の確保については、「昨夏から戦力増強をしてきている。アルバイトは求人情報サイトによる募集と、大学の運動部などを中心に声がけし、確保している」。

     同社では、利用者のニーズを踏まえ、引越業界で初めてQR決済を導入。さらにはライフスタイルの変化などに対応し、LINE公式アカウントの開設やチャットボット導入による24時間受付体制を構築するなど、個人顧客の利便性の向上を図っている。

     ハトのマークの引越センターの全国引越専門協同組合連合会(同千代田区)では、繁忙期を乗り越えるための対策として「個人利用者のスケジュール次第となるが、繁忙期以外に分散できるかどうかを確認したうえで対応して頂くようにお願いしている」という。また、「各事業所における法人の利用者に関しては、繁忙期からの分散利用をアナウンスするようにしている」と話している。

     さらに、配車ドライバーの確保・人材派遣のアルバイトの確保など、人員を確保する方法が課題となっている。人材確保の取り組みについては「各事業所に任せているので状況は分かりかねるが、毎年、各事業所は尽力されている」という。

     アーク引越センター(杉原正憲社長、名古屋市)は、「繁忙期を乗り越えるための対策で、分散することは考えていない」とし、「繁忙期こそ職場環境、就労状況をしっかり管理して対応する」としている。人手の確保については、「昨年より早めに人員確保を行ったため、通常の募集で確保することができた」という。

     アップル引越センターのアップル(文字放想社長、東京都中央区)では、「例年通り、最繁忙期間に引っ越し希望のユーザーへは分散提案を行う」とし、「その際に料金差を設けてユーザーメリットを提示する」としている。そのほか、「引っ越し受け皿の拡大として、4つの新店舗を開設したほか、長距離の家族対応や高層マンション案件などの制限を行う」と話している。また、労働力の確保については「例年通りで、早めに給与水準を上げる募集をかけている」という。

     サカイ引越センター(田島哲康社長、大阪府堺市堺区)では継続して、年末から国交省、全ト協が作成している分散引っ越し呼びかけチラシなどを各企業へ持参し、協力依頼を行っているとのこと。同社担当者は「国交省や全ト協のお呼びかけのおかげで、分散化が進んできていると実感している」とコメントしている。

     
     
     
     
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