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    景気冷え込み…「荷動きの悪さ」が運送事業者の課題に

    2008年11月10日

     
     
     

     景気の先行き不安が物流事業者を襲っている。2か月前までは燃料価格が喫緊の課題だったが、10月は「荷動きの悪さ」に焦点が移行した。
     政府の経済対策でも高速料金の引き下げがトラック事業者への対策だったが、同30日には地域の経済活性化のための対策に変更されるなど、景気冷え込みの認識は広がる。物流事業者のミクロの近況を見てみたい。


     神戸市内で積み替え保管と輸配送業務を主力に展開する事業者。10月下旬、いつも数人の事務職が電話、ファクスの応対に追われている本社事務所を訪れた。
     電話が鳴らない。午後の受注時間帯の風景だ。経営者は「10月半ばから、このような状況が続いている」と話す。中国などから輸入された食品も扱う。「冷凍ギョーザ禍」の余波は夏以降は過ぎ去った感もあったが、ここに来て昨年より3割程度物量が減少した。
     「食糧自給率が上がるならば、それ自体は喜ぶべきことだが…」と話すが、事情はそう単純ではない。これまでよりも発注量が減少し、より安価に運べる路線便を選ぶ荷主が増えつつあるというのだ。食料品の原材料価格も下がるなか、「食料品デフレ」が再び頭をもたげていることが読み取れる。
     食料品以外でも似たような状況が広がる。
     製鉄所から出荷される鋼材を輸送する兵庫県内の事業者は同月下旬、荷主から輸送計画の下方修正が告げられた。減産だ。
     対象はおもに自動車向けの鋼材。「これまでの出荷量がピーク水準であったため、下方修正といっても通常レベルになるだけだ」と聞いている。しかし、付帯作業なども請け負っていた同事業者の売り上げは間違いなく落ちる見込みだ。
     このほかにも県内では、機械関係をはじめ様々な分野の事業者が荷動きの悪さを訴える。「減車が進み、車両台数が間違いなく減少する」(ト協関係者)とみられるなか、それでも強気の事業者がいることは頼もしい。神戸市内で幹線輸送を手がける事業者は「こういうときこそ事業を伸ばすチャンス」と過去の例を引いて話す。
     「新型車といって値段が上がったトラックも安く買えるし、金利も安い。人件費だって安くなる」からだ。
     この事業者はさらに続けて、荷主の物流体制が完全に「合理化」されてしまったことに疑問を呈する。
     「荷動きが悪いとき、以前なら『運ばせて』と言えば安い運賃で出荷してもらえ、一種の金融機能もあった。いまは在庫を持つのが悪のように言われることから、どこもすぐに減産し引き取り手もない」。物流合理化が、景気後退とともにトラック事業者を苦しめている一つの側面だ。(西口訓生)

     
     
     
     
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